国連へ意見書「韓国の詐欺的な 市民団体によって提起された慰安婦問題」


なでしこアクションのサイトから山本代表の許可をもらって転載しました。英語版も英語のブログに掲載しています。

AJCN代表兼事務局長 江川純世

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新しい歴史教科書をつくる会国際歴史論戦研究所が国連人権理事会(44会期/2020年6-7月)に共同意見書「韓国の詐欺的な 市民団体(NGO)によって提起された慰安婦問題」(原題「A Deceitful Korean Citizens’ Group (NGO) and the Comfort Women Issue」)を5月27日付けで提出しました。
その意見書の全文をご紹介します。

国連 人権理事会 44 会期 (2020 年6月-7月)
議題4  理事会の注意を要する人権状況
経済社会理事会(ECOSOC)協議資格 NGO 新しい歴史教科書をつくる会
共同提出NGO 国際歴史論戦研究所

2020 年 5 月 27 日 

韓国の詐欺的な市民団体(NGO)によって提起された慰安婦問題

国連人権委員会において慰安婦問題を提起し、「女性を強制連行して『性奴隷』にした」と日本を非難してきた 韓国の挺身隊問題対策協議会(略称は挺対協。現在の名称、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯、略 称は正義連)が金儲けのための詐欺団体であったことが明らかになった。挺対協は 2014 年から国連経済社会理 事会(ECOSOC)協議資格 NGO である。

このことを告発したのは、同団体の幹部として長年活動してきた元慰安婦と自称する李容洙(イ・ヨンス)氏 である。

彼女は 2007 年米国下院で慰安婦問題の対日謝罪要求決議審議の席上で米議員の前で泣き叫びながら証言を行い、2017 年 11 月にトランプ大統領の韓国訪問時に行われた晩餐会において、元慰安婦としてトランプ大 統領にハグを求めたことで世界的に有名な人物である。 李容洙氏は、2020 年 5 月 7 日、韓国の大邱市で行われた記者会見で、次の事実を告白した。

  1. 同団体が集めた寄付金が元慰安婦の為に使われたことがない。ほとんどは私的目的に使用されており、その責任は今年の 3 月まで同団体の代表を務めてきた尹美香(ユン・ミヒャン)氏にある。 
  2. 自分の慰安婦時代の経験についての証言は、同団体から言われたとおりに証言したものである。
  3. 自分は「性奴隷」ではない。尹美香氏に対して、「私はなぜ性奴隷なのか、その言葉はやめなさい」と要求したが、尹美香氏は「こう表現してこそ米国が怖がる」と言って敢えて「性奴隷」という言葉を国連で使った。

以上の三点から、同団体の尹美香前代表が、李容洙氏など元慰安婦を名乗る人々に嘘の証言をさせ、慰安婦を「性奴隷」と偽り、国連を利用して慰安婦問題を女性の人権問題として世界的に拡大し、多額の寄付金を国内外から集めて私的に利用していたことが明らかである。

現在、尹美香前代表は寄付金の私的利用疑惑や不透明な会計をめぐり、李容洙氏のみならず、複数の市民団体からも告発されており、検察による捜査が開始された。具体的には、2020 年 5 月 20 日と 21 日の両日、検察による正義連に対する家宅捜査が行われた。


詐欺的な団体に騙された国連人権理事会

慰安婦とは戦場近くで合法的に売春行為を行った人々であり、それはビルマで米軍の捕虜になった慰安婦及びその雇人に対する尋問結果をまとめた1944年10月1日付米国戦時情報局(US Office of War Information, OWI) の「心理戦報告書第 49 号」(米軍の公的資料)に「慰安婦とは、日本陸軍に随行した売春婦あるいは軍隊随伴業者に他ならない。“a comfort girl is nothing more than a prostitute or professional camp follower”」と記されていることからも明らかである。

挺対協は「日本の官憲が慰安婦にするために20 万人の韓国女性を強制連行し、『性奴隷』として虐待した」と主張してきた。だがそれは事実ではない。慰安婦の多くは経済的理由からやむを得ずそのような仕事に就いたのである。そのような中で1930 年代から第二次大戦中にかけて、多くの女性が朝鮮人の犯罪組織によって誘拐されあるいは騙されて満州や中国に売られた事件が多発した。「強制連行された」と主張する元慰安婦のほぼすべてがこのような犯罪組織の被害者であり、日本の官憲が救出に向かっていたのが当時の実態である。そのことは当時朝鮮で発行されていた東亜日報などの新聞記事に数多く報道されている。

挺対協はその事実を180 度捻じ曲げ「日本の官憲が強制連行した」と国連で訴えて世界の同情を買い、善意の人々から厖大な寄付金を集め、それを私物化してきた。

 人権条約体委員会の中では、自由権規約委員会(CCPR),社会権規約委員会(CESCR)、人種差別撤廃委員会 (CERD),女子差別撤廃員会(CEDAW)、拷問禁止委員会(CAT)、強制失踪委員会(CED)の 6 つの委員会が同 団体からの意見書を踏まえて、「性奴隷に関する犯罪に対する法的な責任を公的に認め、犯罪者を訴追し処罰せよ」と日本政府に勧告している。


我々は次のことを人権理事会に要望する

  • 韓国政府は、正義連(旧・挺対協)によって傷つけられた韓国と日本の名誉を回復するために、その責任において慰安婦問題を再調査し、その実態を明らかすべきである。
    国連人権理事会は、韓国政府にそのように勧告してもらいたい。
  • 本文に挙げた 6つの人権条約体委員会は、虚偽に満ちた正義連の言うことを鵜呑みにして、慰安婦問題に関して、日本政府に対する見当違いの勧告を出し続けてきた。各人権条約体委員会は、被害者の証言を鵜呑みにすることなく、事実をしっかり調査した上で、報告書を作成するよう強く要望する。事実をベースとした科学的 な調査が何よりも大切である。





ポスト・コロナ時代に向けて走り出した世界


Cheers 2020年6月号記事

                       
                        AJCN事務局長兼代表 江川純世


今月号では、新型コロナウイルス禍が収まった後のポスト・コロナ時代に向けて準備を始めた中国と米国の動きを中心に、それがどんな世界になるかについて考察してみる。


1. 民主主義国から批判される中国共産党(CCP)の情報隠蔽、感染拡散放置
2019年12月にSARSに似た新型肺炎が武漢で発生し、12月末に医者グループのSNSサイトで李文亮氏がこれを発信したが、武漢市公安当局はこのホイッスルブロワー、李氏を処罰した。李氏がこの病気で死亡したことはよく知られ、中国国民の怒りを買った。12月31日、台湾は、独自の調査により、SARSを疑わせる症状があることや患者が隔離治療を受けていることを明記したメールをWHOに送ったが無視された。WHOは現在中国の影響下にあり、中国の指示で動いていることに対し特に米国から強い非難を浴びている。(米国はWHO への拠出金の停止を決定し、インターネット署名サイト「Change Org.」によるWHOテドロス事務局長の辞任要求は5月1日で署名102万人を超えた)
中国の隠蔽の証拠は今アメリカによってまとめられている最中だが、1月3日時点で国家衛生健康員会が「新感染症に関する情報管理の強化」と「サンプル類の破棄」を指示した文書を発行している。CCPの理論誌「求是」のウェブサイトは1月15日、1月3日に行われた党最高指導部の会議で、習近平総書記が「1月7日に対応を要求した」と発言したと報道、その時点で中国政府が情報を得ていたことを認めた。中央政府専門家チームのトップ医師、鍾南山氏は1月19日、武漢の感染症専門病院や海鮮市場を視察し、「人から人への感染」を確認した。その報告を受け1月20日習近総書記は「感染蔓延の阻止」と「迅速な情報開示」を命じる「重要指示」を出した。情報は約2週間隠蔽されたことになる。1月23日に武漢の封鎖開始、その前に500万人の武漢市民が脱出し、中国国内外に散った。中国は春節25日の前後の休暇(1月10日~2月18日までの40日間)の約30億人の移動を黙認、多くの武漢人が日本、欧州、米国他に移動し、感染をスタートさせた。この出国放置は「未必の故意」といえる。鐘南山医師の調査チーム自身が2月28日付で、中国当局が新型ウイルスへの対策を5日早く始めていれば、感染者は3分の1に抑えられていたという論文を発表しているのだ。


2. 中国は大国の自閉症:マスク外交と金のバラマキによる懐柔策と経済報復の脅し
周辺国のリアクションに鈍感な中国の言動は「大国の自閉症」と言われている。(戦略家エドワード・ルトワック氏)前月号で豪州でのすさまじいマスクや医療品の買占めについて書いたが、世界各国で現在まで中国が買い集めたマスクは22億枚と言われている。この買占めによって各国のマスク不足が顕著になり、中国に対する反感が増した。1月中旬から中国は感染が他国に及ぶと考え買い占めを指示、自国での感染が収束すると今度は感染に苦しむ他国にマスク外交を仕掛け、「対価」と「感謝」を要求している。しかし提供されたマスクや人工呼吸器、検査キットの多くが不良品であることが発覚、各国の不信は更に大きくなった。豪ピーター・ダットン内務大臣が米国や欧州諸国と同様、新型コロナウイルスの起源について中国に透明性を要求し、独立的調査を呼びかけたが、中国の反応は、これはアメリカのプロパガンダ戦争の主張のオウム返しであり、無知と偏見の露呈という非難であった。
https://www.abc.net.au/news/2020-04-22/coronavirus-china-peter-dutton-covid-19-ransparency/12171050

A Chinese embassy spokesperson said Peter Dutton must have been told to work "with the US in its propaganda war".(ABC News: Jed Cooper)

中国 成競業大使は4月23日に豪経済誌オーストラリアン・フィナンシャル・レビューのインタビューに対し、感染拡大に関する調査を要求することは豪州産ワインや同国への旅行のボイコットにつながりかねない、留学生の親たちも友好国でないどころか敵対国ですらあるとわかった所へ子供たちを送って良いか自問する可能性もあると脅した。そして極めつけはCCPの海外向け広報メディア環球時報が豪州を"Chewing gum stuck on the sole of China's shoes".(靴底についたチュウインガム)と評し、"Sometimes you have to find a stone to rub it off," (時々石でそぎ落とさないといけない)と書き、豪州人をカンカンに怒らせた。
https://www.abc.net.au/news/2020-04-30/coronavirus-china-diplomatic-backlash/12198674


2. ポスト・コロナ時代の覇権確立に動く中国の火事場泥棒的軍事活動
中国は各国がコロナウイルス禍で苦しむ中、着々と手を打っている。

1) 中国、南シナ海に新行政区を設置
中国政府は4月19日までに、各国が領有権を主張する南シナ海に新たな行政区を設置すると発表した。南シナ海の実効支配を強める中国にベトナムが反発しており、緊張が高まっている。今後は三沙市に、「西沙区」と「南沙区」を新設し行政組織も設ける。南シナ海をめぐっては4月に入り、中国の海警局の船がベトナム漁船に体当たりして沈没させ、米国は「深刻な懸念」を表明している。


2) 中国空⺟「遼寧」など6隻が沖縄・宮古島間通過、台湾付近で軍事演習
4月10日、中国海軍の空母「遼寧」と機動艦隊計6隻が沖縄本島と宮古島間を南下、太平洋へ向けて通過した。

3) 南シナ海をめぐる米国と豪州の反応
米国は中国海軍の動きに反応し、台湾にロナルド・レーガンを中心とする空母機動艦隊とB1爆撃機、空中給油機を派遣した。(5月20日の蔡英文大統領就任式対策)
米国は2018年3月、米空母カール・ビンソンをベトナム(ダナン港)に歴史的寄港をさせた後も空母セオドア―・ルーズベルトをベトナムに派遣している。豪州は海軍のフリゲート艦HMASパラマッタを南シナ海に送り4月22日米軍と合同演習を行った。HMASパラマッタは、この地域の安定と安全の強化目的で、過去2か月間、南アジアおよび東南アジア全域で活動している。
演習中のHMAS パラマッタと米空母(Twitter: Department Of Defence)


3. 中国の覇権拡大の動きに対抗する米国の報復策
武漢ウイルス抑え込みに苦しむ自由主義国を尻目に、中国は発展途上国に対し「債務の罠」を仕掛け、これらの国々を支配する力を強化している。ポスト・コロナ時代における中国の挑戦を察知している米国は中国への報復計画を練っている。4月28日AFPはトランプ大統領が中国に損害賠償請求の可能性を示唆したと報道、4月29日、フランス国際放送局は香港経済日報の報道を引用し、すでに米、英、伊、独、エジプト、インド、ナイジェリア、豪州8か国の政府,民間機関が訴訟を起こしているとした。賠償訴訟の請求金額にミズーリ州の請求額を加えると1京1,000兆円(100兆ドル)を上回る。トランプ大統領の指示で、米政府当局者が報復行動プラン作りに入ったと5月1日ワシントン・ポストが報じた。具体的には中国政府を裁判にかけられるよう国家主権免除を剥奪したり、中国からの輸入品に1兆ドルの関税をかける等である。
ポスト・コロナ時代はアメリカを中心とする自由主義国と中国とそれに同調する少数の独裁主義国のDecoupling: 非干渉化が進むであろう。サプライチェーンを見直し、安全保障上問題となるコアーソースの調達網から中国が排除される。米国ではスタンフォード大学やMITのような有名校が中国人留学生の受け入れを停止し始めた。CCPの先兵として海外で動く留学生や、先端技術を盗んで母国に持ち帰る研究者の動きを阻止する動きは強まるであろう。これと並行し自国企業の中国への投資と中国企業の自国重要企業への投資の制限も進む。世界はブロック化に向けて走り始めた。豪州が中国依存の体質をどう変えていくのか注視したい。




“黒”を“白”と言い、“放火犯”が“消防士”を気取る中国政府のプロパガンダ


Cheers2020年5月号記事

                         AJCN事務局長兼代表 江川純世


昨年11月に武漢で発生した新型コロナウイルスは変異を繰り返しながら、世界5大陸に蔓延している。まず中国が、新型コロナウイルスの起源問題を米国との情報戦で使える「弾」として使い始め、諸外国を巻き込んだ米中間の非難合戦が激化している。余波はCHQと揶揄されているWHOにも及び(現在米国は中国寄りを理由にWHOへの拠出金停止を検討中)、豪州も巻き込まれている。この情報戦のあらましと豪州での中国共産党指導による企業ぐるみの医療品買い占めと慈善活動を装った“マスク外交”について解説する。


1. 誰も信用していない中国のデータ
一党支配の元、隠蔽、データ操作が常識の中国政府から出された新型コロナウイルスに
関するデータは明らかに過少と見られている。それゆえ中国を含めたデータの相対比較は意味がない。専門家によれば中国の死者数は報告されたデータの3倍~5倍、感染者数は10倍と見積もられている。

1) 無症状の感染者数、統計への不算入
李克強首相は3月30日、無症状の者は感染者の統計に加えていなかったと述べた。

2) 武漢での死者数の隠蔽
武漢市は3月31日、新型コロナウイルス感染による死者が累計で2,548人になったと発表した。この数字は、実際の遺骨の多さに比べて極端に少なく、市民は「全く信用していない」。米政府系放送局ラジオ、フリー・アジアによると、感染拡大ピーク時の1カ月間に2万8,000人の遺体が武漢で火葬されたという。


2. 中国は1月中旬から情報戦を準備
中国共産党は、ポスト新型ウイルスを意識して中国批判をかわすためプロパガンダ戦展開が必要と判断、新型コロナウイルスを何週間も放置し蔓延させた国(放火犯)としてではなく、ウイルスに勝利し他の国々を救おうと善行努力している国(消防士)として自身を描こうと新しい“物語”を紡ぎ始めている。中国政府は、偽情報/数字の操作、陰謀説、WHOに対する影響力行使、さらにコロナウイルスに対する中国の勝利の英雄的な物語を伝える本さえ刊行し歴史の再構成に努めている。その成功物語の一つは治療装備を備えた病院というよりも雨漏りのするプレハブ検疫収容所という事実を隠しながら、わずか10日間で2千床の「コロナウイルス病院」を建設したことである。建設の過程を世界中のウエブやメディアに流し、その驚異的建設速度と規模を強く印象付け、ウイルス抑え込みに成功し4月初めに閉鎖したと発表した。


3. 米国の中国のプロパガンダに対する怒りと非難
米国側では習近平政権が武漢での集団感染が明白になった後もその事実を隠蔽したことが世界中への蔓延を早めたという認識で一致している。その前提で「武漢ウイルス」との呼称が定着している。中国当局は3月4日「ウイルスの発生源がどこであるかについてまだ結論は出ていない」と反発、3月5日にも「このウイルスの発生起源についてはなお調査が進行中である。このウイルスを中国ウイルスとか武漢ウイルスと呼ぶことは証拠もなしに中国に発生の責任を負わせようとする不当な動機に基づいている」と言明した。3月6日ポンペオ国務長官はワシントンでのテレビ・インタビューで、中国側がウイルス感染症の起源をあいまいにし始めたことに対するトランプ政権の公式の反論として「これはまさに武漢コロナウイルス」と述べた。

3月13日中国外務省の趙立堅副報道局長は、ウイルスの発生源が米軍の研究施設だと推測する記事をツイッターで紹介し、拡散を呼び掛けた。趙氏は12日夜には「武漢市にウイルスを持ち込んだのは米軍かもしれない」と主張した。中国外務省の耿爽副報道局長は13日の記者会見で、「ウイルスの発生源は科学的な問題だ」とのみ述べ火消しに努めたが、一連の発言はさらに米国の怒りに油をかけたことになる。


3月25日、ポンペオ長官はG7のテレビ会議後の記者会見で、中国の「意図的な偽情報工作」について議論したことを明らかにし、新型コロナの流行に関して引き続き正確な情報が必要と訴えた。
4月1日、トランプ大統領は中国が発表している統計数字は「やや少ない」ようだとの見解を示した。米ブルームバーグは米情報局が機密報告書で中国の感染者数と死者数を過少報告されていると結論付けたと報じた。
一方共和党議員が外国の公務員が偽情報を流した場合、個々人のビザの取り消し、資産の凍結などの制裁を科すなどの法案を準備中である。そのほか米国の個人、グループが中国政府を相手取り、情報隠蔽のために損害を受けたと賠償を請求する裁判がスタートしている。米国は中国から受けた甚大な被害を回収しようとする動きを示しているので、中国共産党内部では「米国に融和的な対応すべきとする派」と、「一連のプロパガンダ戦を維持・強化すべきという派」の対立も生まれるかもしれない。中国はいかなるプロパガンダを講じようとも「事実」に勝利することはできないであろう。


4. 豪州での中国共産党指導による医療品買い占めと慈善的協力
中国の報道機関によれば、中国は韓国、イラン、フィリピン、スペイン等の国に数百万のマスクを寄付、イタリアにも人工呼吸器と200万枚のマスクを提供した。最近フランスに10億枚のマスクを出荷すると発表したが、Huaweiから5G機器を購入した場合に限るとの条件付きで話題になっている。習国家主席は「中国の物語を伝え、中国の声を広めよ」と繰り返し指示しており、“マスク外交”はこのプロパガンダ戦の基幹戦略となっている。
一方1月24日から2月末にかけて中国系企業が世界的に(ヨーロッパ、豪州、ブラジル等で)医療品を独占する活動をしていたことが明らかになっている。この間中国はマスク20億枚、防護服2,500万着、約12億ドルを輸入した。ここ豪州でも複数の中国系企業が社員を総動員して医療品やその材料を大量購入し、中国に送っていたとシドニー・モーニング・ヘラルドが報じた。一社は中国不動産大手のグリーンランド・ホールディングス(緑地集団)で豪州やその他の国で外科用マスク300万枚、防護服70万着、手袋50万セット、消毒液とウェットティッシュを大量購入していた。グリーンランド・グループは1992年に上海で設立され、董事長の張玉良は共産党員である。

GOGOTSU 2020年4月2日 武漢に送られた医療品

ジ・エイジ紙は3月31日、1月初めに鄺遠平(こう・えんぺい)という人民解放軍の元軍人と組織犯罪に関与している民間組織が豪州で医療物資を買いあさり中国に送ったと報じた。鄺はHuaren グループを経営、さらに複数の豪州民間団体のリーダーである。これらは中国共産党からの支援を受けており、一部は統一戦線部と直接的なつながりを持っている。鄺が豪州で調達した医療用物資は医療用防護服3万5000着、手袋20万セット、消毒液10トンと報じられている。

鄺遠平と大量の医療品 SMH  March 31, 2020

中国共産党がサポートするこれらの組織が豪州で医療物資を大量に調達したことが、豪州の現在の医療物資不足を引き起こした可能性がある。多くの中国資本の企業や海外組織は豪州だけでなく欧米の各国で爆買いを行っている。グリーンランドは日本でも合弁会社を持っており、ここが日本での医療品買い占めに関わったと考えられる。買い占めをした後、今度はソフトパワーによって豪州に医療品を提供する「慈善活動」によって豪州への政治的影響力を強めようとしていると豪州の関係者は警鐘を鳴らしている。