中国人スパイ亡命騒ぎの余波とメルボルンに設置された慰安婦像について


Cheers 2020年2月号記事

昨年11月14日にメルボルンに慰安婦像が設置されました。AJCNは、像がどんなところに置かれているか、碑文に何が書かれているか現地調査を行いました。写真や碑文の内容に関する分析など、

この記事(Cheers 2020年2月号に掲載)をお読みくださればその詳細がわかります。記事の前半では、昨年中国人工作員が豪州に駆け込んで、香港や台湾での中国共産党のプロパガンダ工作について豪州保安機関(ASIO)に情報を提供した事件の波紋について豪州からの視点で報告しています。


AJCN 事務局長兼代表 江川純世


先月号では、中国のスパイ活動に従事した中国人、王立強(ワン・リーチャン)氏の亡命騒ぎと、彼の行なった香港や台湾での工作活動に関する提供情報の内容、その背景について詳しく報じた。今月号ではこの事件の後に、豪州で何が起こったか、その余波について触れる。また昨年11月14日に除幕、メルボルン韓人会館前の駐車場に設置された慰安婦像の概要について、現地のメンバーおよび協力者からもたらされた情報をもとに報告する。


1. 中国人スパイ亡命騒ぎの余波

●スパイ亡命事件の続報
王氏の情報提供のために台湾で拘束された王氏の上司であった向心(シャンシン)氏についていろいろな情報が出てきている。彼は大陸に帰れば共産党内で副省長(中国では省は一国に相当)クラスのかなり高い地位にある幹部であることが分かった。中国のスパイ活動の研究者である米国のピーター・マティス氏(Peter Mattis /Research Fellow in China Studies at the Victims of Communism Memorial Foundation)は著作出版の記者会見の席上、向心氏がスパイ活動容疑で捕まったからには大陸に帰ると命の保証がないので、台湾にいさせてほしいと考え、そのために彼のやったこと、知っていることを進んで話している可能性があると述べた。彼はアメリカ軍の情報も盗んだとされており、かなりの情報が台湾当局経由で米国と豪州に流されているとみるべきである。当然日本にもこの情報は流れている可能性があるが、日本にも中国のスパイが多くいるため情報の扱いには注意が払われるであろう。

https://www.1242.com/lf/asset/uploads/2019/12/IR2.jpg
(左)中国企業「500ドットコム」の本社事務所が入居する広東省深圳市のビル=12月25日(共同)
(右)元政策秘書と元私設秘書の自宅などが東京地検特捜部の家宅捜索を受け記者団から質問される自民党・秋元司衆議院議員=12月9日午後、国会内 写真:産経新聞社

昨年末25日に摘発されたIRプロジェクトがらみの中国企業(500ドットコム)と日本のIR関係者(国会議員含む4名逮捕、接待を受けた12人のリスト流出)の贈収賄事件もその情報提供の起こした波紋かもしれない。「500ドットコム」の親会社は精華紫光集団で重役の一部は最近まで重複していて両社は一体とみられるが、日本のほとんどのマスメディアはこれについて報道していない。
同集団は中国の清華大学が経営していて、その清華大学は中国共産党が直接支配している国立大である。従って同集団は事実上の国有企業集団であり、中国の国策に沿って企業展開している。つまり「500ドットコム」の贈賄は中国共産党=中国の指導の下に行われており、その目的は直接的なカジノ利権の確保といった些末なことではなく、「IRにおけるオンラインカジノ導入」を名目として清華紫光集団のAI技術やビッグデータ解析、IR内監視カメラシステムなどの売り込みを図ったと考えるのが自然である。これが何故日本の安全保障にとって由々しき問題かというと、IR運営、特にカジノ関係では「マイナンバー」カードの活用が決まっており、ソフトウェア面でこれに関与出来れば日本の国家システム自体に直結できる。つまり「カジノ」を通じて日本国民のデータを取り込んだり、日本政府の他のプログラムに侵入出来る。そうなると日本は首根っこを中国に押さえられたも同然となる。またカジノはマカオの例を見れば明らかなように、黒い金を洗うマネーロンダリングの有効な手段であり、中国大陸の膨大な金が、外貨経由で米ドルに換金される兌換機能も持つ。オンラインカジノともなれば、カジノで使われる仮想通貨が海外のどこでも外貨で引き出せる事態となれば、日本の不動産が日本のカジノに持ち込まれた黒い金で買われていく事態にもなりかねない。
日本が中国のこのような浸透工作の根を断ち切ることは米国が5Gでの覇権を狙うファーウエー潰しを図っていることと通底する。カウンター・インテリジェンスは一国だけではなく多数の国が連携しているが、日本政府が安全保障の観点からどれだけこの問題の深刻さを自覚し、関与しているかは不明である。

●豪州政府は情報機関ASIO(米国のFBI、英MI5 相当)とオーストラリア通信局(ASD)、国防情報部の主導による精鋭情報特別ワーキンググループを設立し、外国の浸透工作、諜報活動などの国家安全上の脅威を疑似戦争状態と仮定して対応するための準備を開始した。実質この組織は中国スパイ摘発のための精鋭対策組織である。大事な点はこの組織を作るのに、新たな法的な処置を必要としない点で、日本なら大騒ぎになるところであろう。
PM announces taskforce to counter foreign interference (ABC News)

このタスクフォースに加わるオーストラリア信号局ASD(Australian Signals Directorate)はDefense Strategic Policy and Intelligence Groupの中の組織で、外国の信号情報、軍事作戦への支援、サイバー戦争、情報セキュリティを担当する機関である。ここが加わったということは、疑似戦争状態と仮定して盗聴を含めて何でもありのリアルな戦時の戦術対応を実行するということである。オーストラリア当局としては、目下ASIOはオーストラリア連邦警察(AFP)と情報を共有して、機密情報保護の機能を強化し、情報周辺者と目される怪しい人物を洗い出し、ひそやかに国外に退去させるという。このために約9000万豪ドルの初動資金が準備されたとも伝えられている。
関連記事:
Spies called in to oversee taskforce amid heightened foreign interference threat
https://www.abc.net.au/news/2019-12-02/asio-to-lead-foreign-interference-taskforce/11756060

PM to spend nearly $90 million on foreign interference taskforce(ラジオ)
https://www.abc.net.au/radionational/programs/drive/pm-to-spend-nearly-$90-million-on-foreign-interference-taskforce/11758368

この動きに伴い昨年12月からASIOは猛烈な人材のリクルートを開始した。私のところにもIndeed経由で求人の情報が回ってきた。下記はASIOのホームページからであるが、日本語分析者は対象外であった。


● 12月12日 ABCテレビで在豪アーサー・カルバハウス米国大使が中国政府のオーストラリア居住者に対する嫌がらせに対し、豪州政府はより強い行動をとるべきと注文を付けた。
US Ambassador to Australia Arthur B. Culvahouse jnr, Prime Minister Scott Morrison and Opposition Leader Anthony Albanese at Parliament House in October. SMH CREDIT:ALEX ELLINGHAUSEN

2019年9月号で取り上げたクイーンズランド大学での中華系学生同士の香港問題に関連しての衝突に続き、ウイーグル系居住者を中国共産党のエージェントが監視している問題について、豪州政府に強い要請を行う形になった。アーサー・カルバハウス氏は、ABCテレビで、オーストラリアのウイーグル人は中国政府のエージェントによって監視および追跡されており、中国のブリスベン総領事、Xu Jie氏は、香港大学の民主主義デモ参加者に対する反対を奨励していたと述べた。

Pro-China and pro-democracy protesters clash at a rally in Sydney. CREDIT:AAP

12日の朝の大使のコメントは、クイーンズランド大学での抗議リーダーであるドリュー・パブロウ(Drew Pavlou)氏がワシントンDCで米国政府高官と会い、オーストラリアでの中国政府の嫌がらせに関する彼の懸念を話し、議論したわずか数時間後に発せられた。
パブロウ氏は、米国での会議での米国の反応について、オーストラリア政府よりもアメリカ政府のほうが中国政府の犯罪行為に対しより大きな懸念を示していたと述べた。
パブロウ氏は、今年初めにクイーンズランド大学のキャンパスで開催した親香港の民主主義派の集会で、覆面をした男性に2回襲撃された。その後、Xu Jie総領事は親中国政府のカウンターデモ参加達の「愛国的な」行動を支持する旨の声明を発表し、パブロウ氏は中国の国営メディア(環球時報)で名前をさらされた後、殺人の脅迫を受けるようになった。Xu Jie総領事は声明の中でパブロフ氏に対する暴力行為を特に支持するといった表現はしていない。パブロウ氏と彼の弁護士は、警察に対しXu Jie氏に対する訴状を作成し、州の「平和と善行法」Peace and Good Behaviour Actの下での拘束命令を求めた。
中国のウルトラ・ナショナリストまたは中国共産党が組織するSNSプロパガンダ実行部隊(5毛党、1件の書き込みで1毛を得る。1毛は8.5円)が、オーストラリアをはじめ海外に住んでいる中国共産党批判者をターゲットに、反対意見を封じ込めることを目的とした悪質なオンラインキャンペーンを行っていることは広く知られている。

関連記事:
US ambassador claims Chinese agents at work on Australian streets
https://www.smh.com.au/politics/federal/us-ambassador-claims-chinese-agents-at-work-on-australian-streets-20191212-p53jie.html

US ambassador claims Chinese agents at work on Australian streets
https://amp.9news.com.au/article/06f11df6-08e2-4d3a-be55-c5cc8153f3a7#referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&amp_tf=From%20%251%24s

'Humiliating': Chinese nationalist trolls target critics in Australia
https://www.smh.com.au/national/humiliating-chinese-nationalist-trolls-target-critics-in-australia-20190819-p52in4.html


2.メルボルン慰安婦像について

慰安婦像の除幕式が昨年11月14日にモナッシュ(Monash)市オークリー(Oakley)の韓人会館(the Korean Society of Victoria)前で行われた。シドニー近郊のアッシュフィールド市にある教会(Uniting Church Ashfield)裏の駐車場に設置されている慰安婦像に続き、豪州では2体目、海外に設置されたのは、米カリフォルニア州グレンデール市(13年7月)などに続き今回で10体目となる。除幕式に出席するためオーストラリアを訪問中のソ・チョルモ華城市長も除幕式に出席した。韓国京畿道華城市は像の海外設置を積極的に支援し、同市が支援、設置した像は今までカナダ・トロント(2015年11月)、中国・上海(16年10月)に続きこれで3体目である。今回設置された像は、華城市が14年8月に同市の東灘セントラルパークに設置したものと同じもので、愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で一時中止になった企画展「表現の不自由展・その後」に出展された少女像を製作したキム・ウンソン/キム・ソギョン氏の作品とのことである。華城市長は「少女像の建立は慰安婦被害者の傷を癒やし、日本軍の性奴隷蛮行を世界に知らせる趣旨で始まった」とし、「平和に向けた華城市民とメルボルン韓人同胞の切実な願いが世界に伝わることを願う」と述べた。
シドニーとメルボルンの慰安婦像の本体のデザインは同じであるが、設置を推進したグループは違い、そばに据えられた碑文の内容などは大きく異なる。どこが大きく違うのか、その背景には何があるのかを分析する。

1) 像の概要
写真はAJCNの協力者が撮影、提供したものである。
Melbourne3
韓人館ビル、事務所前の駐車場スペースに像は設置されている。床面左右に碑文(英語とハングル語)が設置されている。

http://nadesiko-action.org/wp-content/uploads/2019/12/Melbourne4-e1577595881793.jpg
少し離れて、道路から。メルボルン韓人館事務所前は、あまり人が来ない場所だが、道路に面しているので像は歩行者から簡単に見えるところにある。

メルボルンの像の設置を推進したのは韓国の華城市と市民グループMCWM Task Force (Melbourne Comfort Women Memorial Task Force)であった。これに対しシドニーに設置したのは北朝鮮とのつながりが強い正義連:日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(旧称韓国挺身隊問題対策協議会)の指導下にあるFCWS (Friends of Comfort Women in Sydney) であった。MCWM Task Force による除幕式の告知はFCWSのFacebookのホームページに紹介されていることからこれら二つのグループが連携していることがわかるが、二つの像のそばに設置されている碑文の内容を見ると明らかに姿勢が異なる。

2) 主文の内容の比較
(アッシュフィールド市に設置の碑文)
設置者はシドニーの韓国系居住者、正義連と韓国京畿道城南市。

Statue of Peace

In memory of the history of suffering endured by the young girls
and women known as “Comfort Women “ who were forced
into a sexual slavery by the military of the government
of imperial Japan.

We hope for the restoration of honour for the victims through
an official apology and legal reparations by the Japanese government
and that such violence and crimes against humanity by war never
be repeated in the future.

6 August 2016

Sydney Korean-Australians and their Australia’s friends
for human rights and everlasting peace.

The Korean Council for the Women Drafted 
for Military Sexual Slavery by Japan

Seongnam Citizens Republic Korea



(メルボルンに設置の碑文)
設置者はメルボルン全市民と韓国京畿道華城市。
Comfort Women、forced into sex slavery、日本政府に対する公式の謝罪と法的賠償要求
の文言なし。文中、メルボルン市民が「people of  Mebourne 」とエルが抜けているのは急いで作成したからであろう。それはさておき、どこにも「韓国Korea」、「日本Japan」、「慰安婦comfort women」、「性奴隷sex slave」の文字やお決まりの政治的な主張がない。これではこの像が、ベトナム戦争中に韓国兵がレイプ、虐殺したベトナム女性や韓国軍用の慰安婦たち、彼女たちとの間に生まれベトナムに置き去りにされ、差別されているライダイハン達なのか、2002年6月13日韓国楊州市で起きた駐韓米軍所属の装甲回収車による轢死事件の犠牲者である2名の女子中学生か、はたまた第2次大戦中の日本軍慰安婦の約40%を占めた日本女性を悼んでのものか判然としない。華城市長が除幕式の時に述べた「日本軍の性奴隷蛮行を世界に知らせる趣旨」に気づく豪州人はまずいないであろう。
これまで設置された世界各地の慰安像の碑文と比較すると、非常に腰の引けた碑文になっている。明らかに現地での人種対立、政治的軋轢を避け、現地推進者がラディカルな活動家と見られたくないという意図が透けて見える。これは慰安婦像設置反対運動を続けてきたAJCN、現地の日本人それをサポートしてくれた豪州人の周囲に対する働きかけの賜物と言える。

Among the awakening haze on the mountain
streams in August, lies a hidden story of a
yellow butterfly fluttering away.

However, no matter how hard you conceal
the past, what could possibly stop it from
revelation?

As we have unraveled the butterfly’ s hidden
story, the peace loving people of Me(l)bourne
and Hwaseong have united to overcome a
painful past.
In the face of this new hope we dedicate the
Peace Statue.

                  14 November 2019
            From all Melbourne and Hwaseong people


3) モナッシュ市長あての手紙
AJCNは11月初め、設置された場所の行政区であるモナッシュ市のSane McCluskey市長にメルボルンの慰安婦像除幕式が執り行われることについて懸念を示す手紙を送った。8ページにわたる長文であるが、豪州における慰安婦像の本質、中韓反日団体による第一次慰安婦像設置推進運動から始まり、第二次設置推進運動で周囲の反対を押し切ってアッシュフィールド市の教会裏に設置され、そして今メルボルンで設置されようとしている現在までの経緯と推進者たちの背後にいる外国勢力について写真や付属資料で詳細に説明した。
この手紙の全文はAJCNのブログで公開予定。http://jcnsydney.blogspot.com/
AJCN はこれに対する市長名での返事のレターを受領している。
問題は私有地である韓人会館に仮置きされた後の移設先であるので、公共用地や多くの市民の目に触れる場所に建てることは問題であることを強調し、コミュニティーの安寧を乱さないよう協力を依頼した。市長からは本件については認知している、公共の場所への設置申請は出ていないとの返事をいただいている。
慰安婦問題をめぐるメルボルン韓人会、市民グループMCWM Task Forceの活動は、慰安婦映画映写会、除幕式程度でイベント参加者も少なく、在メルボルン日本総領事館前での水曜デモも行っておらず、シドニーに比べると大人しい。慰安婦問題は、中国共産党のプロパガンダを統括する機関「統一戦線」(中国共産党中央統一戦線工作部)と北朝鮮政府の日米、日豪分断工作のためのツールと豪州政府も認識し、慰安婦像設置推進団体および個人は豪州保安機関のサーベイランスの対象となっていると聞く。北朝鮮経済スパイの摘発、中国の浸透に対する対抗策の強化、孔子学級の閉鎖等中国、北朝鮮に対し厳しく対応する豪州政府の監視の目が注がれる状況下で、メルボルンの慰安婦像設置推進団体が彼らの運動をHigh Profile化しないのは当然であろう。




AJCN支援者の方々へ


日頃のAJCNに対するご支援、励まし誠にありがとうございます。

昨年9月から10月にかけてAJCNのオペレーションを変えることを決め、11月1日から下記の新しいオペレーションで活動しておりますのでお知らせいたします。山岡鉄秀氏からAJCNを離れてAJCNとは別の「日本エア野党の会」ほかのボランティアの枠に留まらない活動に注力したいとの意思表示があり、これを了承し山岡氏は10月末にてAJCNを退会しておりますので、ご承知おきください。なお山岡氏はこれからのAJCNの活動には原則干渉しないと宣しております。

オペレーションの変更の推移

  1. AJCNは2014年4月6日にJCNとして発足し、当初山岡鉄秀氏が代表、江川純世氏が事務局長として活動を開始しました。
  2. 2015年2月に山岡氏が個人的理由で東京に転居した関係で、AJCNの体制については、代表は山岡氏のままとしAJCNの豪州における活動を日本に伝える広報と日本における人脈、関係機関とのパイプ作りに専念し、江川事務局長は豪州における運動の計画とその実行、メンバー間のコミュニケーション維持と、両者の役割を明確に分け、Two Heads(二頭)体制の運営を行ってまいりました。
  3. 2019年9月のコアーメンバー会議にて、AJCNのすべての意思決定をTwo Heads制からコアーメンバーによる合議制に変更することを参加者全員で決定いたしました。この会議の後、「代表」がコアーメンバーによる合議結果を承認する方式を主張していた山岡氏から、自分が代表のまま、AJCNの活動を休止(休会)したいとの提案がありましたが、シドニーで昨年8月に韓国政府が支援する反日イベントやデモが行われ、メルボルンでは11月14日に慰安婦像の除幕式が開催され、メルボルン韓人会館前に慰安婦像が置かれている状況下で、AJCNの活動を緩めるわけにはいかないとの判断に基づき、次のようなAJCNの新たなオペレーションへと移行しております。


具体的な新オペレーション


  1. 11月1日からAJCNの活動の実務は、今まで通り事務局長が指揮をとっています。(代表兼務)
    AJCNへのコンタクトは従来通りjcnaus@googlegroups.comまでお願いします。今後AJCNは組織として山岡氏個人の活動に関与いたしませんのでその点ご留意ください。
  2. AJCNは2017年5月1日よりNGOとしてNSW州の団体法(the Association Incorporation Act 2009)により登録したNGOとして活動してきました。登録のメリットは、団体としての口座が保持でき、寄付者の免税の特典があるため寄付を募ることが比較的容易にできること、社会的信用が付与されるなどがあります。一方、豪州で登録したNGOはPublic Officer(団体の責任者/事務局長)の個人情報の登録(一般が閲覧可能)、年一回の総会開催、議事録作成、財務情報、メンバー情報の管理など事務方の負担には重いものがあります。
    ストラスフィールド市の公共用地への慰安婦像設置を阻止し、第二次慰安婦像設置推進運動に対しても、アッシュフィールドの教会裏に像を封じ込め、教会の牧師に対する豪州人権委員会への苦情提出・仲裁裁定申請などにより、慰安婦像設置推進運動をはじめとする反日活動はかなり下火になっていて、活動は任意団体に移行しても支障はないと判断しました。(上記の活動はすべてNGO登録以前のものです)
    現在NGO登録の抹消の手続きを終え、州政府からの最終通知を待っている段階です。


慰安婦像設置反対、反日活動阻止活動からスタートしたAJCNの活動の根幹は、日本人の子供達をいじめから守る、日本国・日本人、英霊の尊厳を貶められることを防ぐ事にあります。AJCNメンバーは任意団体に移行後も有事の際は、ボランティア活動を基本としてしっかりと対処していきます。そのアウトプットの一端はブログをお読みいただければ知ることができます。皆様においては今後もAJCNの支援を何卒よろしくお願いいたします。 
                       

2020年1月17日
AJCN 事務局長兼代表  江川純世




Letter to Melbourne Mayor


慰安婦像の除幕式が昨年1114日にモナッシュ市オークリーの韓人会館(the Korean Society of Victoria)前で行われた。シドニー近郊のアッシュフィールド市にある教会(Uniting Church Ashfield)裏の駐車場に設置されている慰安婦像に続き、豪州では2体目、海外に設置されたのは、米カリフォルニア州グレンデール市(137月)などに続き今回で10体目となる。除幕式に出席するためオーストラリアを訪問中のソ・チョルモ華城市長も除幕式に出席した。韓国京畿道華城市は像の海外設置を積極的に支援し、同市が支援、設置した像は今までカナダ・トロント(201511月)、中国・上海(1610月)に続きこれで3体目である。今回設置された像は、華城市が148月に同市の東灘セントラルパークに設置したものと同じもので、愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019で一時中止になった企画展「表現の不自由展・その後に出展された少女像を製作したキム・ウンソン/キム・ソギョンの作品とのことである。華城市長は「少女像の建立は慰安婦被害者の傷を癒やし、日本軍の性奴隷蛮行を世界に知らせる趣旨で始まった」とし、「平和に向けた華城市民とメルボルン韓人同胞の切実な願いが世界に伝わることを願う」と述べた。

シドニーとメルボルンの慰安婦像の本体のデザインは同じであるが、設置を推進したグループは違う。AJCN11月初め、設置された場所の行政区であるモナッシュ市の市長にメルボルンの慰安婦像除幕式が執り行われることについて懸念を示す手紙を送った。8ページにわたる長文であるが、豪州における慰安婦像の本質、中韓反日団体による第1次慰安婦像設置推進運動から始まり、第2次設置推進運動で周囲の反対を押し切ってストラスフィールド市の教会裏に設置され、そして今メルボルンで設置されようとしている現在までの経緯と推進者たちの背後にいる外国勢力について写真や付属資料で詳細に説明した。

この手紙の全文をここに公開する。これを読めば豪州の慰安婦像問題の全貌が理解できると考える。AJCN は市長から本件については認知している、公共の場所への設置申請は出ていないとの返事を受領している。


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Mr. Shane McCluskey
Mayor, City of Monash


3 November 2019

Re: Comfort Woman statue which Korean anti-Japan group plans to unveil 
at Korean Society of Victoria in Oakleigh on 14 November, 2019

Dear Mayor McCluskey,

My name is Sumiyo Egawa, Secretary-General of Australia-Japan Community Network. We are a group of Japanese and Australian parents who gathered to protect our children from bullying and harassment caused by activities conducted by politically motivated people and organisations. We have been opposing the erection of so-called comfort woman statues in any public or private places visible from roads and streets because such statues have always been politically utilized and causing unnecessary disharmony in local communities that often leads to hostile acts against children of Japanese heritage.
Completely apart from interpretation of historical facts we have a numerous number of reasons to believe this statue has been promoted as a political tool causing unnecessary animosity and division to local communities.  For this reason, Strathfield Council unanimously declined the Korean and Chinese proposal in 2015 as more than 70% of residents voted No to the statue. This kind of statues have been erected all over the world, and demonstrations taking place beside the statues are clearly political, racial and often violent.  We consider this is a huge intimidation to the Japanese nationals.  Please see the photos below for your references.  What further concerns us is the fact that those specific Korean people promoting the statue are trying to break the governmental mutual agreement proposed by both Japanese and the South Korean governments. This agreement is implemented with the aim to provide assistance to the families of deceased comfort women and surviving comfort women, and Australian government officially announced that they also support this agreement as well. We hardly understand why we can not let the two governments settle and build a better relationship for the future.  This statue is a clear symbol with the intention of disregarding the governmental agreement.

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Mr. Abe beheaded beside the statue. Photography taken in South Korea

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One of the ceremonies held in the U.S. to promote the “comfort women” statue.

Australia is a multicultural country believing that all people should be able to live in harmony and enjoy freedom from discrimination. To erect a statue that demonizes one nation in the name of Women’s Human Rights is in direct conflict with the nature of said multiculturalism. The statue erected in Glendale, California is proof that these statues generate hate rather than love. I attached our presentation material, "Harmony must come first" and Letter from Mother in LA for understanding what happened surrounding the statues. No matter who claims that this statue represents the human rights and dignity of women, you can understand how this statue is political and symbolizes hatred. To erect the statue potentially creates a hostile environment for local Japanese residents and their children. It also assists these politically motivated anti- Japan forces to drive a wedge between Japan and Australia which is their major operational intention outlined in the book “Silent invasion” written by an Australian academic, Dr.Clive Hamilton and plotted by the authoritarian, communist regimes who are supporting and financing this agenda. 

The "Comfort Women Statue" issue began in Sydney in February 2014 when the Chinese and Korean alliance called "The United Austral Korean-Chinese Alliance against Japanese War Crimes" (KACA) held a meeting to announce the ten goals of their anti-Japan lobbying which included their political activities such as "to lobby the Australian Prime Minister to put less importance on foreign diplomatic relationships with Japan" and "to erect the Comfort Women statues in all regions of Australia". Since that time, we have observed various figures of the anti-Japan alliance (and of the associated individuals/ organisations) that took part in endorsing the statue to be erected in Sydney. 

1. The first movement for erecting the Comfort Women statue
(The proposal for the erection was rejected by Strathfield City Council on August 11, 2015)
The organisation that submitted a proposal to erect a Comfort Women statue in the square in front of Strathfield Station is an anti-Japanese organization called KACA.
In September 2014 issue of the "Journal of the Korean Society of Sydney", KACA posted a totally political declaration called “The Eight Objectives”.  In it KACA stated that it would work for the interest of Korea and China. (Please refer attached “The Eight Objectives/Points”) When Japanese Prime Minister Abe visited Australia in July 2014, KACA disseminated an open letter to parliamentarians, state councils and the media, criticizing the Japanese government and demonstrated in front of the National Assembly in Canberra.
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(Mr.Ok speaking at that time with Mr. Song, leader of KACA standing by his side, taking part in an anti-Japan demonstration in Canberra, July 2014)

Mr. Sang Ok, the Deputy Mayor of Strathfield at the time, was the chairman of KACA. In 2015 he was replaced by Mr. Luke Song, the former chairman of KSSA (Korean Society of Sydney, Australia). Mr. Luke Song wrote several extreme hate comments on KSSA’s website regarding the Abe cabinet and the Japanese Australian residents while he was the chairman of KSSA. Mr. Song insists that the proposed statue was only to enhance woman’s human rights.  Nonetheless, he used language such as “destroy Shinzo Abe and the Japanese who are dreaming of reviving militarism” and “we are fighting against our enemy to end our sad history”. These strong aggressive words and statements are very common from all the anti-Japan Chinese Korean alliance groups around the world . In September 2014 they released their mission statement in a Korean newspaper in Sydney in which they stated the following: 
"We will urge the US government not to be deceived by Japan, acknowledge the dark evil intention of Prime Minister Abe, stop remilitarization of Japan and change their foreign policies that put Japan first before Korea and China."
"Three Sisters", the Comfort Woman statue, which was proposed to be erected in Strathfield was designed by a Chinese artist and allegedly the cost of the production was to be born by the CCP, the Chinese Communist Party.

2. The second movement for erecting Comfort Women statues
The trigger for beginning stage two of this campaign of erecting comfort women statues was the agreement made between the Japanese and Korean governments to finally settle the Comfort Women issue on December 28, 2015. “Chong Dae Hyup”, an anti-Japan political group which is closely related to North Korea, opposed this governmental agreement and began their monthly Wednesday demonstrations all over the world. In response to this, FCWS (Friends of Comfort Women in Sydney) and Project Group Sysochu (Peace Statue Establishing Committee in Sydney), were formed in Sydney and they started monthly Wednesday demonstrations in Sydney and Brisbane. Many of the members of the two groups, however, are the same people and they really are just one organization. This includes members belonging to existing organizations such as KACA, The Korean Cultural Center Inc. and KSSA.  Although Mr. Luke Song, Chairperson of KACA appeared to disappear from the scene following his failure to erect the statue in Strathfield, he consequently visited the Uniting Church in Ashfield on 22 February 2016 with FCWS members to discuss with Rev. Crews about relocating the statue to the Uniting Church ground.
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Centre: Rev.Bill Crews, Left: Ms.Vivian Pak ,Current leader of FCWS, Right: Mr.Luke Song,Chairperson of KACA

The purpose of this anti-Japan activist group is to tear down the Japan-ROK agreement, and demand the Japanese government pay even greater reparations to ex-Comfort Women. The preparatory work to erect the statue was sponsored and carried out under the direction of Chong Dae Hyup. Please see below further information regarding the people involved, who attended the unveiling ceremony on 6 August, 2016 .

About Chong Dae Hyup and its leader, Ms. Yun Mi-Hyang
The main player who brought the statue to the Uniting Church in Ashfield was Chong Dae Hyup in 2016.  At the initiative of Chong Dae Hyup, the campaign activities were carried out by young Koreans holding working holiday visas and student visas. The below photo is taken in unveiling ceremony held in 2016. Front left is Rev.Crews and back left is Ms.Yun Mi-Hyang.   Former Chong Dae Hyup changed to the Name of the group to "The Korean Council for the Women Drafted for Military Sexual Slavery by Japan War."

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About Friends of Comfort Women in Sydney (FCWS)
The anti-Japan demonstration held on 14 August 2019 in front of the Consulate General of Japan Sydney organised by the Korean anti-Japan activists by the name of “Friends of Comfort Women in Sydney” (FCWS)  The leader is Ms.Vivian Pak who acted as MC in this demonstration.
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Mr. David Shoebridge MLC,Parliament House made a speech allegedly what he said was factually untrue and no more than politically motivated anti-Japan propaganda which is highly insulting.
Left: Mr. David Shoebridge  Right: Ms.Vivian Pak

Although we sent a letter of protest to Mr.David Shoebridge and the Headquarters of the Greens, they replied nothing to us. As FCWS and its main members may be regarded as the agents of North Korea or Chinese Communist Party, they are subject to surveillance of Australian security agencies. Australian government and ASIO realise that the erections of the Comfort Women statues are a part of activities of the anti-Japanese Korean group is said to be just a glove and the hand inside that moves this glove is the CCP, in this worldwide anti-Japan lobbying. Since these Korean anti-Japan activities are being utilised as a part of the Chinese Communist Party’s information operation attempting to cut the ties of the alliance between Japan, The U.S. and Australia.

About who intends to erect the Comfort Women statue in Melbourne
I found the invitation notice of the unveiling ceremony in Melbourne in the Facebook site of FCWS. This time the promoter is  "Melbourne Comfort Women Memorial Task Force" led by Chunje Cho, President MCWM Task Force. I believe this group works with FCWS.
The ceremony will be held at Korean Society of Victoria, 21-29 Railway Ave, Oakleigh VIC 3166.

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The issue for us is where they will bring the statue after the unveiling ceremony.
We would like you not to permit this statue will be put on the ground of public place or private place visible from roads and streets.

In conclusion, we can only see one reason for this statue and that is to create ill feeling at the least, and hatred, at the worst, towards Japan and its people and the people of Japanese heritage residing in Australia. This goes against all that being a multicultural country stands for.
If this statue is built in a publicly visible place, as exemplary citizen of the world for more than 70 years since the end of war, we will strongly challenge against the erection of the statue to protect  peaceful Melbourne.

Sumiyo Egawa

Scretary-General and spokesman
Australia-Japan Community Network Inc.





中国人スパイ亡命事件:豪・米・台湾政府のスクラムによる台湾史上最大のスパイ摘発事件


Cheers 2020年1月号記事

AJCN事務局長 江川純世


オーストラリアの複数のメディアが11月23日、中国のスパイ活動に従事した男性が妻子が暮らす豪州への亡命を希望し、香港や台湾での工作活動に関する膨大な情報を豪州政府に提供したと報じた。

https://www.smh.com.au/national/defecting-chinese-spy-offers-information-trove-to-australian-government-20191122-p53d1l.html

男性への取材は、シドニー・モーニング・ヘラルド紙、The Age紙などが合同で行ったという。シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)によると、男性は27歳、福建省出身の「威廉王(William)」こと王立(力)強(ワン・リーチャンWang Liqiang)と名乗り、偽名による中国と韓国の偽装旅券(パスポート)の画像を同紙などに提供している。 記事によると、王氏は2014年、中国系企業の社員として香港に赴任。同社は中国大陸国防総参謀部(当時)に所属する香港中国合弁会社で、会社名は「中国創新」と「中国趨勢」であった。
王氏は中国大陸からの留学生を香港の大学の学生団体に潜入させて学内の民主化運動の情報を調査、ネット上での言論を妨害した。(活動家の個人情報をインターネットでさらし、個人攻撃をしたり、家族の情報も公開するぞと圧力をかけた)目的は反中国共産党の動きを抑制することであったが、多くの情報提供者はスパイ活動の自覚がないので自然な態度で協力をしていたようである。
王氏は、同社が中国共産党の批判書籍を扱っていた「銅鑼湾書店」関係者5人が15年に失踪した事件にも関与していたと証言、6人の拉致執行担当者に上司の命令を伝えたと述べた。王氏は香港で活動する上司である中国軍の情報将校の身元と、台湾やオーストラリアで行われている内政干渉ともいえる活動の内容と資金源に関する詳細な情報を豪当局に提供していたと報じられた。豪メディア大手ナイン(Nine)系列で24日夜に放送された報道番組「60ミニッツ(60 Minutes)」で、王氏のインタビューが流され、王氏は観光ビザでシドニーに滞在中で豪州政府に亡命を申請中であるが、中国に戻れば処刑される、家族のことが心配で身の危険はいつも感じていると訴えた。
彼は豪州に亡命する決心をした理由として、数か月オーストラリアで家族とともに生活するうちにこの国の民主的自由に深く感銘を受け、中国共産党の仕事に従事することで世界の民主主義と平和を破壊していることを自覚、非常に恥ずかしく思ったため、共産党と決別し新しい任務をしないことを決めたと心情を吐露した。新たな任務とは5月28日に台湾に入り、台湾の民主主義と自由を破壊することで、具体的には2020年の台湾選挙で台湾の独立主権を失わせるための工作をし、共産党が台湾を乗っ取る準備をすることであったが、これは自分がすべき仕事ではないと考えたと述べた。

https://www.9news.com.au/national/60-minutes-chinese-spy-publicly-blows-his-cover-australia-news/d05b9236-3fab-44e0-9033-77d54bb2f115

台湾には偽の韓国パスポート(韓国パスポートは台湾にノービザで入国可)で潜入し、昨年の統一地方選への干渉工作などに関わった。「メディアや寺院、草の根組織への潜入など台湾での仕事が最も重要だった」と話している。
彼の上司にあたる向心(シャンシン)氏はアメリカ軍からも情報を抜いていて、その情報を別の国とも共有していると王氏に話している。このことから韓国や日本でも工作しているのではないかとの疑いも出てきた。向心氏のスマホが台湾当局に押収され解析が進んでいるとのことなので、豪州情報機関(ASIO)や台湾政府当局での捜査が進むと、豪州、台湾、香港だけではなく、韓国や日本に絡む情報も出てくるかも知れない。
この事件は始まったばかりで、今後向心氏が何を話すか関係者は固唾を飲んでことの推移を見守っている。王氏は習近平(シー・ジンピン)体制下の中国共産党について「目標を達成するために軍事、ビジネス、文化などの分野で全ての国に浸透している」とし、過小評価すべきでないと警告している。
本件については2005年に豪州に政治亡命した元在シドニー中国総領事館の外交官であった陳用林氏も「自分が亡命したときの中国スパイは1,000人ほどであったが、それから現在までどんどん増え続け、今は豪政界やメディアだけではなく、軍隊にも入り込んでいて、その数はどんどん変わる。正確な数字は中国共産党も把握できないであろう。スパイとしてはロー・クラスの情報提供者層を中心として増えている。豪州は中国の静かなる侵略にますます注意が必要である」とコメントしている。AJCNは2016年12月以来陳用林氏と情報交換している

王氏は台湾では、2018年の統一地方選で、与党、民主進歩党の候補を妨害するため、中国の情報機関が「サイバー部隊」を設立するのに協力し、ネット上の議論を誘導し、メディアへの影響力行使や野党、中国国民党への「草の根」の資金提供を支援したと証言した。
台湾の総統府は23日、情報機関が関連の調査を開始しているとの声明を発表している。

中共スパイ王立強の諜報活動の具体的な手口についてはこちらのYoutube (台湾メディア看中国:Vision Timesの和訳)をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=nKF5lbHuf3I

土曜日に香港のChina Innovation Investment Limitedの住所としてリストされた建物。
香港のChina Innovation Investment Limitedの住所としてリストされた建物。
クレジットNg Han Guan / Associated Press

もう一つの中国スパイにかかわる不審死事件
選挙関連ではチャネル9は、同じ60minutesのプログラムの中で、豪治安情報局ASIOに接触した高級車ディーラーのボー・「ニック」・ジャオ(Bo "Nick" Zhao)氏がその後3月に、メルボルンにあるホテルの一室で遺体となって発見されたと伝えた。不審死を遂げたジャオ氏は経営破綻し、中国側のスパイとみられる複数の人物から、新事業のために100万豪ドル(約7,400万円)の提供と、その見返りに今年5月の総選挙で立候補し当選の暁には中国のスパイとして働くように持ちかけられたという。男性は与党自由党の党員だった。豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド紙も25日報道。ASIOのマイク・バージェス長官は24日夜、声明を出し、ASIOは以前からこの件について知っており、「積極的に捜査を進めている」と明らかにした。バージェス氏が声明を出すのは異例である。バージェス氏は、ジャオ氏の死も捜査対象になっているため、これ以上のコメントは避けるとした上で、「敵対する外国の情報活動は、依然としてわが国とわが国の安全保障に対する脅威となっている」と指摘した。

多国籍オペレーションが実現した今回の史上最大のスパイ元締め身柄確保
今回の台湾史上最大のスパイ摘発事件は豪州、米国、台湾政府の連携による上級スパイの逮捕作戦であった。時系列に並べるとその用意周到さがわかる。


  • 王氏の豪州政府(ASIO)接触・情報提供。 2019年5月
  • 王市の上司(香港における中国諜報部のボス、スパイの元締め)向心氏が香港から台湾に入国。 11月2日
  • 11月23日各メディア王氏への取材内容を一斉報道。
  • 60 Minutesが本件特集プログラムを11月24日に放映。
  • 向心氏夫妻が出国しようとして台湾の桃園空港で拘束される。 11月24日午後7時
  • 向心氏夫妻、台湾検察特捜部に送られる。11月25日
  • 国家安全法発展組織罪(スパイ組織を台湾国内で作った)容疑で向心氏夫妻出国禁止処分。11月26日午前2時30分

向心氏夫妻の写真 Vison News 2019年11月23日記事から

向心氏は毎月台湾を訪問。妻を同伴(妻も上級シークレット・サービスで台湾選挙工作が担当)していた。台湾で多数の不動産を所有。5月の王氏による情報提供後、豪州政府から情報が台湾政府に流され、台湾政府は情報を精査し、向心氏を泳がせ監視していた。その間彼らに関する細かい具体的な情報をメディアにリークした。スパイの巣窟と言われている高級レストラン「101」に出入りしている者のリストも作成していると思われる。なぜこのタイミングかは、60minutes放映直前、事実上のアメリカの大使館である米国在台湾協会(AIT: American Institute in Taiwan)が中国の海外での工作活動に関する暴露番組が放映されることを伝える予告メッセージを発信していたことでわかる。よって今回の情報暴露とスパイ拘束がアメリカの意図したタイミングで行われたことは明白である。台湾の総統党選挙が来年1月に迫り、国民党の重要人物と向心氏が会っていた可能性は非常に高く、中国共産党の台湾政界工作を暴いて総統選で選を目指す蔡氏を勝たせようという意図が見える。

中国が豪州で工作活動との報道相次ぎ、両国間の緊張高まる
以上の報道によれば、続発する中国共産党のスパイ活動を捜査中のオーストラリアの情報機関ASIOは、国内で中国による工作活動が行われ、連邦議会もその標的になっているとの疑惑を調べており、両国間の緊張が高まっている。
王氏はASIOが不動産業者黄向墨(ファン・シャンモー)氏をオーストラリアで摘発したが彼は大物ではなく、もっと大物がおりキャンベラに身を隠しており王氏はこの人物に会ったことがあると証言している。
中国外務省の耿爽報道官は北京での25日の記者会見で、こうした疑惑は「奇妙」だとして、豪メディアの報道を否定した。上海警察、公安は23日遅く発表した声明で、「自称中国スパイ」だという27歳の王氏は詐欺疑惑で指名手配となっており、中国・香港籍を示す書類は偽造されていると主張した。しかし最先端の顔認識システムで国民を監視している中国で捜査対象になっている人間がやすやすと香港から出国できるはずもなく、発表されたあまりにも完璧な犯罪エビデンスにも疑いの目が向けられている。台湾国民党も王氏の言うことは信用ならないと中国共産党と同じことを主張しており、台湾メディアの記事で名指しされた国民党の総統候補、韓国瑜高雄市長は23日「中国共産党の金銭を新1台湾元でも受け取っていたら、出馬を取りやめる」と述べたが、ネットではわざわざ新1台湾元というところが怪しい、ばれたら香港元や人民元で受け取っていたと言い訳するのだろうと揶揄されている。


豪州の議会や主要大学に対する一連のサイバー攻撃も中国によるものだとされているほか、中国政府が豪州にも触手を伸ばそうと南太平洋での軍事基地建設を検討しているのではとの懸念も強まりつつある。モリソン豪首相は25日、「外国の干渉から豪国民を安全に守るため政府はこれまで以上に強く決意している」と懸念を表明。その上で「こうした問題を巡り結論に飛び付く動きには警告する」とも語った。ASIOのバージェス長官は「わが国と国家安全保障にとって真の脅威となる敵対的な外国の情報活動が継続している」と指摘し、ASIOは「豪州内における外国の干渉とスパイ活動に立ち向かい対抗し続ける」と決意を述べている。
豪州政府は昨年、中国による内政干渉を阻止することを狙った法律を成立させ、安全保障上の理由から華為技術(ファーウェイ)が第5世代(5G)移動通信機器を豪州の通信事業者に提供することを禁じるなど外国の内政干渉に対し神経をとがらせている。
2018年12月に他国(母国や両親の出身国含む)の為に活動する機関及び個人は、Foreign Influence Transparency Schemeに基づいて、国へ申告しなければならなくなった。
https://ag.gov.au/Integrity/fore

中国共産党に対する圧力を強める民主主義国の動き
世界はずっと、「チャイナ市場・マネー」欲しさに、中国の人権侵害、諜報活動、政治工作などに目をつぶってきた。しかし、2018年10月のハドソン研究所における米ペンス副大統領の演説で示されたように、アメリカはトランプ政権も、反トランプ陣営も、「反中国」では一体化して「覇権戦争」を決意した。つまり、アメリカは、「挙国一致体制」で「中国共産党打倒」を目指している。その後中国の「ダークサイド」が続々と暴露されてきている。
10月から11月にかけて中国に追い打ちをかけるような動きが次々におこり、中国共産党幹部たちを慌てさせている。

1)香港の区議会選挙で民主派圧勝。
香港区議会議員選挙で民主派が圧勝したことで、何カ月も続く香港のデモに手を焼いていた中国政府に新たな頭痛の種が生まれた。11月24日の選挙当日、登録有権者の4分の3前後に当たる300万人が投票に向かった結果(投票率71.2%、前回比+24.2%)、全452議席のうち最終的に約390議席を民主派が獲得した。4年前の選挙では民主派の議席は125しかなかった。今回の区議選は、再三にわたる暴力的な行動があってもなお、デモ隊が民衆に支持され続けている現実を浮き彫りにし、サイレント・マジョリティは共産党支持のはずと信じていた共産党の思い込みはもろくも崩れた。多くの有権者は、人々が疑念を持っていた逃亡犯条例改正に賛成した親中派に「鉄鎚」を下したかったと明かしている。
(c)VIVEK PRAKASH / AFP 海怡半島で2019年11月24日撮影

2) 米上下院で台湾との国交を維持することを支持する法案を次々と可決。
 9月25日、米国連邦議会上院外交委員会は、数ヶ月に亘って討議されてきた「台北法」を可決した。台湾への支持を再確認する法的拘束力のない決議であるが、中国に厳しい態度で臨むよう求める議会の姿勢を反映している。米中両政府間が貿易摩擦の打開に向けた通商協議を継続する中での可決となった。
下院はまた、台湾を支持し、台湾の防衛費増額を求める内容の「2019年台湾保証法案」も全会一致で可決している。米政府に台湾に対する「定期的な防衛装備品の販売」を呼び掛けており、台湾の国際団体への加盟にも支持を表明している。

3)米トランプ大統領が香港人権・民主主義法案に署名、成立
トランプ大統領は11月27日、「香港人権・民主主義法」(以下略称:香港法)に署名し、香港法は同日を以て成立した。香港法は香港における逃亡犯条例改正案を巡る激しいデモが始まったその瞬間の今年6月13日に、共和党のマルコ・ルビオ議員らによって提案されたもので、10月15日に米議会下院を通過し、11月20日には上院でも全会一致で議決されていた。香港法は基本的に、1992年にアメリカで制定された「香港政策法」に定められた原則が守られているか否かを再確認するものだが、具体的には主として以下のような内容が含まれる。

  • 香港に高度な自治を認める「一国二制度」が機能しているか否か、アメリカ政府は毎年検証をすること。
  • 香港で人権侵害などを犯した人物をアメリカ政府が議会に報告し、アメリカへの入国禁止やアメリカにおける資産の凍結などの制裁を科す。
  • 香港政府が再び逃亡犯条例改正案を提案した場合は、香港在住のアメリカ人を保護する戦略をアメリカ政府が策定する。

ちょうど今は、米中貿易交渉を行っている最中で、トランプ大統領としては本法案をその交渉をアメリカに有利に持っていくためのカードとして使いたかったからだろうが、共和党議員でさえ、全会一致で同法案採決に賛同しているため署名を遅らせると弾劾を受けるかもしれないと計算したものと思われる。大統領が署名を拒否し続ければ、もう一度議会にかけられれば3分の2以上の賛成を得て、同法案は成立することになっていた。中国は猛反発をしているが、関税交渉での決裂を覚悟するのでなければ打てる手は少ない。

4)中国の新疆ウイグル自治区で大勢のイスラム教徒(主にウイグル人)が中国共産党の「再教育」キャンプに強制収容されている問題について、弾圧の実態が記された共産党の内部文書流出
11月16日付の米ニューヨーク・タイムズ電子版は、中国の新疆ウイグル自治区での弾圧の実態が記された共産党の内部文書を入手したと報じた。それによれば、習近平国家主席はイスラム過激主義について、「ウイルス」と同じようなもので「痛みを伴う積極的な治療」でしか治せないと考えているということだ。
CNN(香港)によれば、中国当局が新疆ウイグル自治区で多数のウイグル族住民を拘束している問題などをめぐり、中国共産党内部から400ページ以上の文書が流出した。文書は国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が報じたもので、大規模な監視システムを通じて多数のウイグル族を危険分子とみなし大量に拘束。中国語の使用や民族文化を捨てるよう強要しているという。中国は文書が曲解されたと主張し、強い反発を示しているが、世界に大きな衝撃を与えている。習近平(シーチンピン)国家主席が2014年、現地の職員らに対して、テロリストや分離主義者を「容赦なく」取り締まれと指示した未公開の演説原稿も含まれている。拘束作戦に反対したり、拘束された人々の解放を試みたりした党員数人が粛清されたとの記述もある。

5) ウイーグルにおける人権侵害に対する米国ポンペオ国務長官の非難続く
ポンペオ国務長官は今年に入り、ウイーグルにおける人権侵害に対する非難を強めている。
今年3月13日、各国の人権状況に関する2018年度版の報告書を発表し、会見中、中国によるウイーグル人らイスラム教徒の大量拘束を強く非難している。また国連総会出席のためニューヨークを訪れたポンペオ氏は9月22日、中国政府によるイスラム教徒の少数民族ウイグル族に対する弾圧について「自国民のイスラム教の信仰や文化を抹殺する試みだ」と強く批判した。カザフスタンなど中央アジア5カ国の外相との会談で述べた。
その後も10月8日、中国政府がウイグル人などのイスラム教徒の少数民族に対して「非常に抑圧的な活動」を行っているとして、弾圧に関与したとされる中国高官らのビザの発給を制限すると発表した。ポンペオ氏は声明で、中国政府がウイグル人やカザフ族、キルギス族やそのほかのイスラム教徒の少数民族に対し、一連の虐待行為をしていると非難した。直近ではポンペオ氏は11月26日の記者会見で、中国政府による新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族への弾圧の様子を示した中国当局の内部文書について「中国共産党が人権を踏みにじっている証拠だ」と述べ、中国政府を批判した。拘束されたウイグル族の即時解放を改めて求めた。
26日、記者会見するポンペオ国務長官(ワシントン)=AP
ポンペオ氏は文書が「ウイグル族への残虐な拘束と組織的な弾圧の詳細を示している」との認識を表明。文書の公表によって、中国に政策変更するよう圧力を求める米国への協力の輪が広がることに期待を示した。

このような環境の中で日本では今回のスパイ事件などが大きく報道されることもないし、国会で香港やウイーグルでの人権侵害や残虐な弾圧について非難決議もされていない。香港では「今日の香港、明日の台湾、明後日の日本」と言われているのに、なぜ日本の領土侵略を公言している隣国で現実に起こっている事象を、日本人はいつか自分の身にも起こるかもしれないと受け取れないのだろうか。報道、情報の少なさに起因するとも思われるが、日本のメディアや政治家への中国共産党の影響力の浸透工作がすでに十分行われており、世界の民主主義国の認識と異なる内向きの無関心が支配するメンタリティが完成しているのかもしれない。これこそ中国共産党の「戦わずして勝つ」孫氏の兵法の達成すべき到達点であろう。

最後に次のメッセージでこの記事を締めくくりたい。
ウイグル人を100万人以上を強制収容している国のトップを国賓待遇で来年訪日させないでください。心から、安倍総理にお願いします。人権侵害超大国のトップと天皇陛下を会談させ日本の評判を失墜させないでいただきたい。