「収束?とんでもない!反日韓国人団体による韓国政府肝いり慰安婦問題蒸し返しデモは続く」


Cheers 2019年12月号記事


                           AJCN事務局 江川純世

今月号では先月号に引き続き新しいステージに入った「慰安婦問題に焦点を当てた反日活動のパターン」を分析し、反日グループの新しいアプロ―チについて解説する。

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(筆者撮影)

反日韓国人グループFCWS(Friends of “Comfort Women” in Sydney)またはSYSOCHU(シドニー平和の少女像建設推進委員会)(二つのグループのメンバーは同一)が8月14日、シドニー日本総領事館前でデモを行った。AJCNはFCWSのブログサイトを定期的にウオッチ、デモ情報を事前に把握していたので、私含めメンバー数人を派遣した。
11時半過ぎ、デモが行われるシドニー日本総領事館前に到着すると、反日グループの攻撃的な若手活動家L氏が私に詰め寄ると広報担当で参謀格のP氏が間に割って入り、笑顔で握手を求めながら脅すようにこう言った。「やあ江川さん!あなたの日本での動画(桜チャネルに出演の動画)と名前の出ている本(「日本よ、もう謝るな!」飛鳥新社)を見てい
るよ。なかなかいい活動しているね。」我々も彼らをウオッチしているが彼らも私の動きをウオッチしているというわけだ。P氏は普段は優しい顔をしているが、水曜デモでアジテーションをしているときには形相が変わる。2016年8月6日、韓人会館横で開催された慰安婦像除幕式でMCを務めたとき、3回もAJCNの名を出して非難した。教会に像が持ち込まれる前の水曜デモで私と言い合いになり、像をキャンベラの戦争博物館に設置してやると言い放ったこともある。
今回の水曜デモの特徴はP氏が私に胸を張って彼らのロビー活動の成果と自慢したように、左翼政党「緑の党」の現職NSW州議会議員や社会主義者グループのメンバーをゲストスピーカーに招いたことである。
シドニー総領事館前でスピーチするデヴィット・シューブリッジ州議院議員(FCWS FB サイト)


緑の党のデヴィット・シューブリッジ州議院議員は「第2次大戦当時の天皇を戴いた日本はWar Machineであり、数十万人の女性を強制的に性奴隷の犠牲者とした。日本の現政権に対し私はこの戦争犯罪を認め犠牲者に陳謝するよう呼びかける」と反日グループの主張に沿って、日本総領事館の前で日本を誹謗・中傷した。これに対しAJCNはさっそく代表名で抗議の手紙をシューブリッジ州議院議員と緑の党の本部に送ったが、現在まで何の反応もない。
反日グループに乗っ取られた教会
14日の反日デモと10日の反日映画上映会のイベント情報をFCWSのサイトhttp://www.sysochu.com/ を検索し、FCWSの連絡先がユナイティング・チャーチ教会になっていること、アッシュフィールドの教会のFBが安婦関連情報であふれかえり、教会は反日韓国人たちに乗っ取られたかのようになっていることを発見したことは前月号で書いた。今アッシュフィールドの慰安婦像が設置されている教会駐車場は、慰安婦を「ハルモニ(おばあさん)」と呼びあがめる韓国人たちの集会場所になっている。
慰安婦像前でのイベント (FCWSのFBサイト)

教会内でのイベント(FCWS FB サイト)

豪州における反日の系譜
ここでAJCNが5年半の慰安婦像設置反対運動を通じて対峙してきた、そして今も対峙している反日組織・個人について具体的に触れよう。AJCNは彼らの背後にある組織やその目的を把握し、裏に中国共産党の大きな戦略「ビッグ・ピクチャー」の存在を確認している。
中国共産党の狙いは、「日豪の分断」である。

1) 第一次慰安婦像設置運動
ストラスフィールド駅前の広場に慰安婦像を建てようという建議を提出した組織はKACAという中韓合同の反日団体である。彼らの市議会に対する設置提案の建議は、AJCNと日本政府の官民両輪の反対運動に屈し、2015年8月11日、ストラスフィールド市によって否決された。
KACAは2014年9月に8つの目標と称する宣言を韓人会誌に掲載した。全く政治的な内容で、KACAはこの中で韓国と中国の利益のために働くとまで言い切っている。2014年7月8日の安倍首相キャンベラ訪問時、日本を非難するオープンレターを国会議員、州議、メディアにばらまくとともに、キャンベラ国会前でデモを行なった。
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2014年キャンベラ反安倍デモ 中国系(聯合ニュース2019年7月8日)

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2014年キャンベラ反安倍デモ 韓国系(KACA))(聯合ニュース2019年7月8日)

当時のリーダーは当時ストラスフィールド市副市長のサン・オク市議。2015 年からルーク・ソング前韓人会会長へと交代した。ルークKACA会長は韓人会会長(当時)は、安倍内閣と在豪日本人に対する過激なヘイト・コメントを韓人会サイトに書き込み続けた。しかし、この戦いの中では反日韓国人グループは、ボクシングでいえば、ボクシング・グローブ、中の拳が中国共産党という役割であった。スリー・シスターズと呼ばれた慰安婦像は中国人デザイナーによるもので、製作資金も中国から出される予定であった。韓国人たちによる戦術的失敗に懲りた中国側は、韓国人たちとの共同戦線から離脱したと伝えられている。

2) 第二次慰安婦像設置運動
第二次慰安婦設置運動がスタートしたきっかけは、2015年12月28日の慰安婦問題に関する日韓合意であった。これに反発した当時の挺身隊問題対策協議会(挺対協)が、水曜デモを2016年1月からスタートさせた。これに呼応してシドニーでFCWA(Friends of Comfort Women in Australia、豪州における慰安婦の友人たち)とProject Group Sysochu(Peace Statue Establishing Committee in Sydney、シドニー平和の少女像建設推進委員会)というプロジェトベースのグループが結成された。メンバーは重複しており、実質は一つの組織、韓国人のみのグループである。これに韓国文化センターや韓人会といった既存の組織に所属するメンバーが加わっている。実働部隊の数は30人ほどで20代の若者が中心である。FCWAは途中からFCWSに改名した。
彼らの活動の目的は、日韓合意の破棄、日本政府への賠償金の支払いと政府としての謝罪要求である。挺対協がスポンサーとなり、すべては挺対協の指示のもとに準備が進められた。2016年8月6日の慰安婦像披露式に登場した関係者について詳しく説明する。教会に慰安婦像を持ち込む前に、韓人会の運営委員会で韓人会館に持ち込むことについて議論されたが、全員賛成ではなく1/3が反対したことには注目すべきであろう。また2014年5月にAJCNが実施した慰安婦像設置に反対する署名活動では、多くの韓国系の方々が署名した事実も重要である。シドニー韓人会に参加している韓国系市民は日系団体のJSS、JCSのケースと同じようにメトロポリタンシドニーに住む韓国系のごく一部であり、AJCNはFCWSの反日活動に賛同しているのは韓国系住民のごく一部と考えている。

1. 挺対協(当時)とユン・ミヒャン代表
教会への像持ち込みの主役は挺対協(当時)であった。挺対協の主導で、韓国の反日教育に洗脳された若い韓国人ワーホリや学生などを中心に設置運動が進められた。下は2016年6月ソウルの挺対協のオフィスで挺対協代表 ユン・ミヒャンと打ち合わせをするFCWSのメンバー(右はL氏)である。
(FCWS FB サイト)

ユン・ミヒャンは慰安婦のキル・ウオンオクとともに8月6日の除幕セレモニーに出席した。
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(筆者の友人のツイッターから)


2. ビル・クルーズ牧師
アッシュフィールドのユナイティング・チャーチ(合同教会)の責任者であり、慈善団体エグゾダス・ファウンデーション(Exodus Foundation)の代表でもある。彼については前月号で詳しく紹介したのでここでは省略する。

3. FCWSのロビー活動
8月14日のデモで緑の党の現職上院議員がFCWSをサポートする演説を行った。現職の議員が今回の水曜デモに参加したのは初めてであるが、これには伏線がある。
昨今の豪州の政治的雰囲気は保守派のスコット・モリソン首相になってから対中国政策はより厳しくなり、パンダ・ハガーたちは息をひそめている。彼らを代表する存在がベイジン(北京)ボブと政界で呼ばれているボブ・カー氏である。彼は労働党政権時、外相を務め引退後、中国の一本釣りによってUTS (University of Technology Sydney)にある中国サポートが露骨な研究機関ACRI(the Australia-China Relations Institute)の理事長に収まった。私は彼の講演会(聴衆はほとんど中国人ばかり)に出かけて彼の話を聞いたことがある。
豪州にとって中国がなぜ大事かを経済関係から説き起こし、最後に豪州は安全保障面で米国と一歩距離を置くべきとしめ、それなりに説得力のある論理を展開していた。
近年豪州では北朝鮮のスパイが逮捕されたり、米国のムン・ジェイン政権に対する厳しい見方に豪州政府、保安機関も同調しているので、反日韓国・朝鮮系団体は目立った活動はしていない。援護射撃が欲しい彼らは、水面下で左翼系政治家や運動組織に接近しロビー活動を展開してきた。その一つの機会が2018年2月にメルボルンとシドニーを訪れたピースボートとの接触であった。この時AJCNはメルボルンとシドニーのメンバーを動員してイベントに参加し、反日色の濃いピースボートの活動を視察した。その結果は月刊Hanada2018年9月号に掲載した。(「ICAN とピースボートの蜜月」、Cheers 2019年9月号にも掲載)
メルボルンでピースボートを受け入れたのはJFP(Japanese for Peace)の活動家M氏と前会長。M氏は2017年6月11日の衆議院議員杉田水脈氏によるメルボルンでの講演会を、反日学者田中利幸氏と共謀して妨害した人物である。田中利幸氏は元広島市立大学広島平和研究所教授で現在メルボルンに住んでいる。彼は毎年広島でのイベントに参加、天皇制打倒を声高に主張している。

ピースボートのメイン・イベントにはFCWSの幹部であるキム氏とFCWSのメンバー数名が参加した。そこで彼らはICAN大使で元「緑の党」上院議員のスコット・ラドラム氏と接触した。

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左がキム氏、その右横がスコット・ラドラム氏(キム氏のFBサイト)

ピースボートの慰安婦問題に関する意見は挺対協と同じなので共闘できると考えたのだろう。またラドラム氏がこのイベントで労働党への投票を呼び掛けたので、韓国人グループへの支援を得られると踏んだのかもしれない。 キム氏は弁護士でロビイスト。選挙では韓国系の票をまとめて労働党を支援している。このつながりが今回の8月14日のデモにおける現職「緑の党」州議の演説と結びついたとみてよい。

前列左から3人目がキム氏。2017年12月の補選で労働党議員を支援。(キム氏のFBサイト)

8月10日の慰安婦プロパガンダ映画上映会に見えた反日韓国人グループの運動展開の仕組み:3代にわたる被害者ビジネス支援と被害者偽装国家韓国との結託

8月14日のデモに先立ちシドニーのシティにあるシドニー韓国文化センターでFCWS主催のプロパガンダ映画上映会が開催され、約130人が参加した。「Apology(謝罪)」と「Daily Bread (日々の糧)」の二本の映画とともに慰安婦者写真展も併設された。
このイベントには初めて韓国政府機関、シドニー韓国総領事が参加した。韓国政府がこのイベントを公式に支援したことは、豪州における慰安婦をめぐる反日運動が今までとは異なるステージに入ったことを意味する。11月14日にはメルボルン韓人会(Korean Society of Victoria)で慰安婦像の除幕式が行われるとの情報も入ってきた。メルボルンの慰安婦像推進グループはMelbourne Comfort Women Memorial Task ForceというNPOでシドニーのFCWSと連携している。このグループは2018年7月28日にKorean Church of Melbourneで”I can Speak”という慰安婦映画の上映会を行っている。

シドニーでの14日のデモの最中、FCWSの参謀P氏が私に語った、「日本軍のための慰安婦問題は女性の人権問題であり、ナチスがやった戦争犯罪に対するドイツの謝罪のように安倍政権は日本の代表者として謝れないのか?」との問いかけに彼らの狙いのすべてが凝縮されている。

「The Apology」は2016年、カナダ出身のティファニー・シウン監督(Tiffany Hsiung))が製作した。韓国と中国、フィリピンの日本軍慰安婦達の生活を描写したドキュメンタリー。
「Daily Bread」は、オランダ系オーストラリア人慰安婦ジャン・ラフ・オハーン(Jan Ruff-O'Herne)(96歳で今年8月19日にアデレードで死去、スラマン事件の被害者)のインドネシアキャンプでの被害事例をベースに2018年に制作された映画。
彼女についてはAJCNのブログ記事「ジャン・ラフ・オヘルネ/オハーン(Jan Ruff O'Herne) さんについて」(2017年3月2日)を参照願います。

この映画の監督がルビー・チャレンジャー氏と聞いてぴんとこなかったが、写真を見て驚愕した。このチャレンジャー氏はなんとあのジャン・ラフ・オハーン氏の孫娘であった。
オハーン氏はいわゆる「慰安婦」ではなく日本軍司令部のガイドラインを無視した複数の将校と慰安所業者が起こした監禁・強姦事件の被害者だが、ここ豪州では最も有名な「慰安婦」として知られ、マスコミにも取り上げられることもしばしばで、反日韓国人グループを支援していた。
韓国人慰安婦とオハーン氏。最右がオハーン氏。(FCWSのFBサイト)

その娘のキャロル氏は2014年4月1日のストラスフィールド市の公聴会で慰安婦像設置支持者の一人として、母であるオハーン氏のメッセージを読み上げた。またその後も2016 年8月6日の慰安婦像披露式典で同じようにメッセージを伝えた。キャロル氏はシドニー有数の高級住宅地に住んでいる。

この10日のイベントでキャロル氏は娘を伴い、監督としてインタビューを受けるルビー氏の晴れの姿に満足そうな表情を浮かべていた。
インタビューを受ける映画<デイリーブレッド>監督ルビー・チャレンジャー氏(FCWSのFB)

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2014年4月1日ストラスフィールド市公聴会前のキャロル・ルビー母娘。左はKACA代表ルーク・ソング氏。(筆者撮影)

2019年8月10日イベント会場でのキャロル・ルビー母娘)(FCWSのFB)
祖母、母、娘の3代にわたり慰安婦問題にかかわり、女性の人権と尊厳を守ろうという主張の裏に、歴史の真実から目をそむけながら被害者をよそおい反日運動を行うグループの広告塔というポジションを取り続ける偽善者の血統を見たというのは言い過ぎであろうか。

以上



宗教家・人道活動家の仮面の下に隠れた優越意識と攻撃性

Cheers 2019年11月号記事

AJCN事務局長 江川純世

今月号ではAJCNの5年半の活動の中で出会った宗教人、人権活動家たちの心の奥底に潜むものが何かを見つめてみたい。

なぜ教会は反日活動グループに占拠されたか。

デモ風景(筆者撮影)
2016年11月の水曜デモ以来、なりを潜めていた反日グループがまた活動を再開した。
2015年ストラスフィールド市の公共用地に慰安婦像を設置することに失敗した反日中韓団体KACA (The Committee of United Austral Korean-Chinese Alliance against Japanese War Crimes) の意思を引き継ぎ、2016年8月6日にシドニー郊外アッシュフィールドにあるユナイティング・チャーチ教会裏の駐車場に慰安婦像を持ち込んだ反日韓国人グループFCWS(Friends of “Comfort Women” in Sydney)またはSYSOCHU(シドニー平和の少女像建設推進委員会)(二つのグループのメンバーは同一)が8月14日、シドニー日本総領事館前でデモを行った。
FCWSは“日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯”(旧挺対協:“韓国挺身隊問題対策協議会”)のユン・ミヒャン代表の影響下にあり、韓国で国定記念日として制定され今年2回目を迎える8月14日「慰安婦の日」(韓国語でキリム日)に、第1400回水曜デモおよび第7回世界日本軍「慰安婦」の日・世界連帯集会と銘打ってデモを実施した。日韓関係は過去最悪という状況にあり、ムン・ジェイン政権官製の不買運動を中心とした反日運動が韓国で展開されているが、ここ豪州でも8月14日のムン・ジェイン大統領の「慰安婦問題を国際社会と共有し拡散していく」というFBのメッセージと同期して反日活動が展開されたことになる。
今回の水曜デモの特徴は、左翼政党「緑の党」の現職NSW州議会議員や社会主義者グループのメンバーをゲストスピーカーに招いたことで、「NO 安倍!」(韓国本土の反日運動に使用されているものと同じ)、「法律的な賠償を」という二つのプラカードを掲げ、「慰安婦に謝れ:Apology to “Comfort Women”」と叫んで気勢を上げた。

デモ風景(筆者撮影)

14日の反日デモと10日の反日映画上映会のイベント情報をFCWSのサイト
http://www.sysochu.com/ を検索しているうち驚くべきことに気がついた。なんとFCWSの連絡先がユナイティング・チャーチ教会になっている。連絡先を知るためにHomeページ右上の3本のバーをクリックすると教会の住所が出てきた!
Contact: Ashfield Uniting Church
180 Liverpool Road, Ashfield NSW 2131


それならばと今度は教会のFBサイトをチェックするとこれまた驚くべき状況になっていた。アッシュフィールドの教会のFBは慰安婦関連情報であふれかえり、教会は反日韓国人たちに乗っ取られたかのようである。
Facebook site of Ashfield Parish Uniting Church
https://www.facebook.com/pages/Ashfield-Parish-Uniting-Church/166826243703454


FB記事の一部



ビル・クルーズ牧師との遭遇
ビル牧師を初めて見たのは反日韓国人グループが2016年4月に公開したYoutube動画の中でであった。そこで彼は「ストラスフィールド市議会が慰安婦像を却下したことに激高したので、慰安婦像を建てて加害者に謝罪させる」と穏やかながら宗教家とは思えないほど攻撃的な言葉“Perpetrators”(加害者)という言葉を使った。


AJCNが2016年12月人権委員会へ苦情を申し立てたとき、彼はメディアに「さあかかってこい!像の設置場所を変えるとすれば、今より目立つところに置いてやるだけだ」とAJCNを挑発した。ストラスフィールド市民の70%以上が市の調査で慰安婦像に反対した事実に敬意を払わず、コミュニティーの分裂、いじめ、差別、韓国人の違法売春などの目の前にある問題を無視、ユナイティング・チャーチの信者を始め、周りの多くの人々が示す懸念についても聞く耳を持たなかった。ユナイティング・チャーチは2013年に聖職者による性的暴力の被害者に200万ドルの賠償金を払っているが、自分たちの過去はすっかり棚に上げてしまっているようである。
ビル牧師は2018年3月7日から9日までソウルで開かれた「日本軍『慰安婦』問題解決のためのアジア連帯会議」に出席し、席上「日本政府は問題解決を長引かせて恥をかくよりも、今すぐ謝罪したほうがよい」と話した。8日聯合ニュースのインタビューに答えたビル牧師は「日本軍による慰安婦問題は日本人の責任によるものではなく、日本政府の責任問題だ。この件に反対する立場のシドニーの日本人団体にも教会のスペースを提供する。」と述べた。早速AJCNは教会上位者を通じて、スペースをもらいたいと申し入れたが、彼はこれを無視した。
(ABCニュース2016年8月)

彼は2016年8月6日の韓人会館脇での慰安婦像披露イベントに挺対協(当時)代表ユン・ミヒャン氏と参加しスピーチを行った。
              
ユン・ミヒャン氏
(筆者の友人のツイッターから)



豪州、アメリカにおける教会の役割と現状
イギリスの植民地として歴史上に姿を現した豪州は、当初軽犯罪で捕まった犯罪者の流刑地としてスタートした。犯罪者とともにそれを監視・管理する役人、彼らの家族や新天地を求めて移住してきた人々によってコミュニティーが形成されてきた。国家としての仕組みが整うまで、彼らの信仰(主にキリスト教)の教会は物理的にも精神的にもコミュニティーの中心に据えられた。そこは交流の場であり、貧しい人たちが駆け込むシェルターの役割も担っていた。これはアメリカの植民地化のシンボルであるメイフラワー号に乗った人々が開拓したアメリカでも同様であった。行政システムが整えられながら、教会の役割は少しづつ教会の手から離れた。ビル牧師が主宰するアッシュフィールドのユナイティング・チャーチの場合はどうであろうか。彼は同じ敷地内にある慈善団体エグゾダス・ファウンデーション(Exodus Foundation)の代表でもある。ここの売りは食堂での毎日の昼の炊き出しとウールムルーのユーロン・パークウエーでの無料夕食の配布である。夕食はフード・バンで運ばれている。このほかシェルター、医者によるケアーなども提供しているが、ある識者によれば行政の福利厚生システムの整備を阻害しているという意見もある。

教会内Loaves and Fishes Restaurantでの炊き出しランチを待つ行列(筆者撮影)

夕食を届けるバン(筆者撮影)















ビル牧師はもともと電気技術者であったが、宗教界に入り人権活動家として認められるようになった。2006年彼は、ソーシャルプログラムにおける世界クラスのリーダーシップと革新性が認められ、アーンスト&ヤング ソーシャルアントレプレナーオブザイヤー賞を受賞した。会計会社であるアーンスト&ヤングの賞をどうして受章できたのか。このチャリティ団体のオペレーションの仕組みを知ると自然とわかる。
まず資金の調達はすべて寄付、オペレーションにかかわるほとんどの人はボランティアである。寄付、ボランティアー・ワークは免税の対象である。寄付者もかかわる人材派遣会社も、食材を提供する大手スーパーも免税を使える。食堂で出す食事の食材はトラックが回って、大手スーパーから賞味期限の切れかかった食材をピックアップして毎日炊き出しを行っているのであろう。スーパーも損失処理または寄付で会計処理すればよいわけだ。

ここで笑い話を一つ。私は定期的にビル牧師の教会を訪問している。ある日昼時にあたり、ベンチに座って休んでいると、一人の若いバック・パッカーが皿にランチを盛ってやってきた。隣に座ってよいかと聞かれたのでOKというと、彼は話し始めた。「自分は金がなくなり腹がすくとここに来て飯を食う。君は食べないのか?結構いけるよ。」私が「いいよ」というと彼は肉だけを食べた後、野菜が残った皿を近くのごみ箱に捨てた。ゴミ箱には残飯が残った皿が山のように捨てられていた。食堂の入り口の前で並ぶ人たちの服装は身ぎれいで、日本のホームレスとは全く違う。これが私の知人の言った福利・厚生システムを手放さず売名行為を行っているという批判につながっている。行政では貧困層に対する各種の補助を手厚く行っている。
隅田川のほとりで暮らすホームレス。(写真:週刊女性PRIME 2018/10/28)

豪州の教会は白人の信徒が減り、多くの教会が閉鎖される光景は珍しくなくなっている。そこに韓国人のキリスト教徒が入り込み、韓国教会の様相になっていると、豪州の宗教家から聞いたことがある。教会は互助会のような場となり、親睦行事が盛んで金の貸し借りが横行しているとのことであった。韓国のキリスト教界ではプロテスタントが優勢で、慰安婦像を受け入れたユナイティング・チャーチもプロテスタント教会である。ビル牧師は、日本政府の要請で斡旋に乗り出したNSW州マルチ・カルチャラル大臣からのAJCNとの面談要請に対し、大臣秘書に「自分の教会は韓国人の信徒が多いので、彼らの許諾なしには会えない」と昂然と要請を拒否したそうである。

AJCNは2016年8月にユナイティング・チャーチ・オーストラリアの400余のブランチに対し、アンケートを実施した。内容はアッシュフィールド教会に慰安婦像が設置されたが、もしあなたの教会に慰安婦像を置かせてもらいたいとの申し入れがあった場合、それを受け入れるかどうかというもので慰安婦問題に関する説明も添付した。回答の多くはごく常識的な、「断る」というものであったが、韓国系の牧師からは受け入れるとの回答も送られてきた。その典型を紹介する。

「このアンケートを私たちの教会に送ってくれてありがとう。
正直に言うと、このメールは、歴史上の慰安婦像の背景を説明していないし、反日活動家がこれらの行動をとる理由をあなたのグループが理解する努力をしていないので、私は当惑しています。歴史的背景なしでこのメールを送信すると、人々の慰安婦像についての真実についての理解を歪めることになります。
さらに、「反」という用語は単に分裂を誘発するだけであり、彼らは単に日本を嫌っているだけ、日本はそれに無関係というように聞こえますので、彼らを「反日活動」と呼ばないでください。このグループの人たちは、第二次世界大戦中、日本軍を性的に慰めるために戦場に送られた女性の犠牲を思い出そうとしているのです。そして、日本政府は、国民たちの姉妹や母親達が、軍事的抑圧の下で絶望的に無力に送られなければならなかったその国に謝罪しませんでした。像を設置した人々のグループは、人々に歴史を忘れさせたくないと思っているのです。あなたが述べたようにコミュニティーの調和に本当に取り組んでいるのなら、正しい情報と知識が人々に提供されるようにしてください。そうすれば、彼らは活動家を誤解したり歴史を歪めたりしません。歴史から学ばなければ、国には未来はありません。「慰安婦像」を設置する人々のグループを強く支持することに後悔はありません。私の教会が私の意見を支持することも強く信じています。」
J.K 
 Secretary of  “C” Korean Uniting Church.
On behalf of minister of “C” Korean Uniting Church

これは今の韓国政府、韓国人の多くが言っている主張そのものである。


反日運動の広告塔としての牧師、人権活動家 (8月10日のFCWS主催のイベント)
ビル牧師は人権活動家として高名で、2GBというラジオ放送にも枠を持っている。一貫して慰安婦像問題で反日グループを支援、彼らのプロパガンダ・ツールとなっている。
8月14日のデモに先立ちシドニーのシティにあるシドニー韓国文化センターでFCWS主催のプロパガンダ映画上映会が開催され、約130人が参加した。「Apology(謝罪)」と「Daily Bread (日々の糧)」の二本の映画とともに慰安婦者写真展も併設された。
このイベントには初めて韓国政府機関、シドニー韓国総領事が参加した。韓国政府がこのイベントを公式に支援したことは、豪州における慰安婦をめぐる反日運動が今までとは異なるステージに入ったことを意味する。

スピーチする在シドニーの韓国総領事館総領事サンウー・ホン氏。慰安婦問題は日本と韓国のバイ・ラテラルな問題だけではなく女性に対する性暴力の問題であると述べた。この種の集会で総領事が正式なスピーチをしたのは、ムン・ジェイン大統領の慰安婦問題を世界中に拡散していくという意思の表れであろう。
(FCWSのFBサイト)
そしてこのイベントにもビル牧師は参加し慰安婦像を守っていくとのスピーチを行なった。
スピーチするビル牧師 (FCWSのFBサイト)


私の体験したエピソード
エピソード1
私の友人に宗教心が厚く、周りからも教養があり知的で優しいと慕われていた女性がいた。彼女はカウンセリングを勉強し、セラピストとしてたくさんの他人(ひと)の悩み相談を受けてきた。本人によれば、彼女の仕事は中立的な立場で話を聞き、どのようにしたらその人の心が楽になるかを考えてアドバイスすることであった。ある女性が彼女にあることをしたいのだが、どうすべきかと相談した。彼女は、自分の判断・考えを言わずに、別の人間に相談してみてはと振ったが、その女性は相談した別の人間の誤った判断、行動によって周りの人間の信頼を失うことになった。私はセラピストと称する女性に、あの時あなたが、別の人に相談するよう振らなければ、彼女はそんな目に合わなかったのではと話したが、彼女は「私が止めたとしても、相談に来た女性は結果的に同じことをしたと思うわ」と言い訳をした。そこで私は人が間違いを犯さないように善導するのもカウンセラーの役割の一つではないかと返した。その後彼女は周囲に向かって私に対する個人攻撃を猛烈な勢いで始めた。私は見てはいけない彼女の心の底にあるものに触ってしまったのかもしれない。

エピソード2
男女二人の宗教家が、寄付を求めるとともに入信を勧誘するため我が家を訪ねてきたことがある。盛んに自分たちの信仰する宗教が最も良いことを説明した後、「戦争がなぜ起こるのか?私たちの宗教の信者になれば戦争はおきないのだ。」と言った。
そこで私は「あなたが一番、私が二番」と言えば戦争は起きないものを、「私が一番、あなたが二番」と主張するから戦争になるのではと返したところ、二人は黙ってしまった。英国の戦略家リデル・ハートは、「多くの人権活動家、平和主義者の心の中に激しい好戦的要素をしばしば見て驚かされる」と述べている。

以上




NSW州孔子学級閉鎖はダ―ウイン、台湾、沖縄までつながっている。

Cheers 2019年10月号記事


                      AJCN事務局長 江川純世


1.NSW州孔子学級閉鎖決定。

先月号のこのコラムで孔子学院と孔子学級について触れた直後、8月22日に、シドニー・モーニング・ヘラルドの次のような記事が飛び込んできた。
SMS: NSW Department of Education is the only government department in the world that hosts a Confucius Institute.

中国政府の寄付により運営されている語学と文化プログラムがNSW州の公立学校から除去され、NSW州教育省によって導入される新たなプログラムに置き替えられることになった。前月号で私は豪州の保安当局によれば、中国政府プロパガンダ機関Hanbanによる金と人を使ったNSW州への食い込みはすさまじく、米国のような対処には時間がかかるであろうと書いた。しかしなんとその1週間後にこの決定が報道された。前月号に書いたように、現在豪州政府が13校の大学が孔子学院と結んだ契約内容が「外国干渉防止法」に違反していないかを調査中であり、孔子学級閉鎖への圧力はこれからさらに強まるであろう。
ではなんでこんなに早く事態が展開しているのか、それはターンブル首相の後、首相についたスコット・モリソン氏の性格と政策によるものである。


2.スコット・モリソン(Scott Morrison)首相について

政府関係者によればスコット・モリソン首相は熱心なクリスチャンで長老教会で育った。77年には、オーストラリアの長老教会、メソジスト教会、会衆派教会が合併してオーストラリア合同教会(Uniting Church in Australia)となる。大学卒業後、カナダのリージェント・カレッジで神学を学ぼうと考えたが、21歳で結婚したため、「家族を養うために働くべきだ」という父親の反対で断念した。妻のジェニーさんとはクリスチャンのユース・キャンプで出会った。後にペンテコステ派となり、現在はシドニーのホライズン教会のメンバーで、礼拝に定期的に出席している。
真面目な性格でdiplomaticで中国に対しては非常に厳しく対決姿勢を示している。この点前ターンブル首相とは全く異なると言ってよいだろう。米国に寄り添う姿勢も強く、それは中国の一帯一路政策への対抗、南太平洋諸国に対する投資援助など外交政策にも表れている。8月21日豪州政府は米国の要請に応じ、フリゲート艦のホルムズ海峡への派遣を発表した。そのモリソン首相の指揮下、孔子学院と学級をめぐる状況は急展開しているわけである。


3.ダ―ウインの米豪新基地をめぐる動き

AJCNはブログで2015年北部準州政府がダ―ウイン港をM506$で中国企業、嵐橋集団(Landbridge)に99年租借する契約を結んだことについて取り上げた。

今年に入ってメディアは立て続けに次のような記事を出して再びダ―ウインについて注意を喚起した。

ABC: Can the Darwin Port's 99-year lease to China be reversed? And what role, if any, did Andrew Robb play?

A sign on the fence of the cruise ship terminal.
嵐橋集団の施設があるEast Arm Wharfからクルーズ船や外国軍艦が停泊するターミナルがあるFort Hill Wharfや豪州海軍基地のあるHMAS Coonawarra Larrakeyam Barracks が丸見えである。さらに港湾管理(出入り船の管理)をやっている税関施設などは嵐橋集団が管理している。

ABC: How and why did the Northern Territory lease the Darwin Port to China, and at what risk?

SBS: Government rejects federal MP's call to buy back Darwin port from Chinese leaseholder
SBSのこの記事の中心は8月4日に開催された米豪2+2(外交・防衛)ミーティングの内容に関する観測(The move comes as Australia hosed down speculation the United States was seeking support from Canberra to put ground-based missiles in Darwin.)で、米国から中距離弾道ミサイルを北部準州に設置したいので協力してくれと提案があったのではという質問に対し、モリソン首相はメディアに即座にそんな相談はなかったと否定した。


4.ダ―ウイン港の問題が日本に関係する理由

ダ―ウイン港をめぐる今年に入っての著しい報道の増加を私が取り上げた理由について疑問に思う方もおられるかもしれない。これはこのダ―ウイン港から離れたところに新たに建設される海軍新基地(海兵隊の駐屯と海軍軍艦の停泊が目的)が日本の安全保障と関係しているからである。新基地について私が把握しているだけでなんと6月から7月にかけて4本の記事が出ている。



さてSBSが取り上げた中距離弾道ミサイルについて少し触れておく。米国はロシアと結んでいるINF(The Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty)から脱退することを今年8月に宣言した。INFは両国が持っている大陸間弾道ミサイルに関する条約であるが、最近INFに加盟していない中国が中距離弾道ミサイルを大量に開発、保有していることに米国政府が危機感を抱き脱退したと言われている。中距離弾道ミサイルの射程は3000~5500Kmあり、 南シナ海の中国の人工島基地はもちろん、台湾および中国上海周辺、沿海側の基地まで届く。日本メディアも台湾事変(中国が台湾を攻撃、占領し吸収する)について取り上げることはあるが、何が具体的に起こるかまで書いていない。豪州のメディアも南シナ海に対する中国の進出については懸念の記事を書くが 台湾にまで目が届いていない。中国は米軍の艦艇(空母打撃群)が中国沿岸に近づけないようDF-21ほかの新型ミサイルを開発して中国人民解放軍の海上戦略である接近阻止・領域拒否(Anti-Access/Area Denial, A2/AD)を実行している。もしダ―ウインに米国が中距離弾道ミサイルを置ければ、南シナ海基地だけではなく台湾事変に対し米豪連合の強い攻撃力となる。
台湾事変が起こったら日本は無関係であろうか?ダ―ウインからだけではなく、沖縄の周辺海域や沖縄の米海軍港に停泊している原潜(沖縄軍港に入港する原潜が核を積んでいることは軍関係者間では常識である)から弾道ミサイルが台湾海峡にある中国軍艦と沿海側の基地に雨のように降り注がれるであろう。これに対抗するため中国は沖縄に向けて中・長距離ミサイルを撃ちこむこととなる。日米安保および周辺事態法を適用して日本も参戦することになることを日本国民はどれだけ認識しているか? 


5.台湾の重要性

米国トランプ大統領は、中国との覇権争いに勝利するため、それこそ中国の急所を確実につく針を次々と打ってきた。

●事実上のアメリカ合衆国と中華民国(台湾)との間の軍事同盟である台湾関係法(Taiwan Relations Act)があるが、台湾旅行法(Taiwan Travel Act)を新たに追加した。
2018年3月16日、トランプ大統領の署名により台湾旅行法が成立。
●米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所(駐台大使館に相当)の新庁舎落成式が2018年6月12日に行われた。警備に海兵隊が派遣された。
●8月台湾への22億ドル相当の武器の販売許可。さらに新型の「F16V」66機の売却(80億ドル相当)を発表した。
●関税戦争、ファーウエー締め出しなど中国の技術・経済力を減殺させるあらゆる戦略を実行している。

なぜ米国は台湾をそれほど重要に考えているのだろうか?それは中国人民解放軍の基本戦略の中で設定された重要概念である第一列島線の上に台湾があるからである。台湾が中国のものになれば同じラインの上にある日本も中国に取られる公算が高く、そうなると太平洋の米国の覇権は著しく棄損することは確実である

「第一次列島線 絵」の画像検索結果


6.最後に。見てほしいマンガ

中国共産党の覇権拡大の恐ろしさはマンガ「私の身に起きたこと」を見ていただければわかると思う。今多くのウイグルの方々が迫害を受けている新疆ウイグルで何が起こっているのか、1分で読めるので是非お読みになっていただきたい。
https://pbs.twimg.com/media/EDSKVnUUEAA_kow.jpg
続きはこちら。

以上




クイーンズランド大学で中華系学生グループ同士が衝突、その裏に何が?

Cheers 2019年9月号記事

                         
AJCN 事務局長 江川純世

7月24日名門クイーンズランド大学の校内で、港出の留学と中国本の留学が、港問題をめぐって衝突したとの報道が流れた。今月号ではこの事件の裏側について解説する。


1.クイーンズランド大学のキャンパスで何が起こったか?
、「逃亡犯条例」改正案の完全撤廃を求める港市への持活動として、留学約50名やウイグル留学と100人以上の地元出⾝の学⽣が、キャンパス内で集会を⾏った。しかし、この集会を妨害するため、約200⼈の中国⼈留学⽣が、スピーカーで中国国歌を⻫唱し、中国共産党⽀持のスローガンを叫んだ。⼀部の中国⼈留学⽣は、集会に⼊り込み、⾹港⼈留学⽣が掲げるプラカードを破壊した。大学側は「大学の役割の1つは、オープンで、敬意を払った、法に従った言論の自由を確保することで、これには、全員が支持または同意できないアイデアについての議論も含まれる」との声明を出した。大学は、「スタッフと学生が合法的かつ敬意を払った方法で彼らの見解を表明することを期待しているが、今日の早い時期に、大学はキャンパスでの抗議行動から生じる安全上の懸念に応えて、警察の支援を求めた。」と述べ、通報を受けた地元警察が現場に駆け付け、反対派に移動するよう指示をした。警察当局が留学⽣らを逮捕したかは不明だ。

Pro-China and pro-Hong Kong students clash at University of Queensland

Protesters clash at the University of Queensland over Hong Kong’s controversial extradition law.


2.中国共産党の傭兵として、母国からコントロールされる中華系住民
今回のクイーンズランド大学での中華系グループの衝突に似た騒動は過去にも経験されている。中国の豪州侵略の実態を暴いたSilent Invasionの著者、Clive Hamilton博士はこの本を書いた動機をこう語っている。2008年首都キャンベラで行われた北京オリンピック聖火リレーに、何千人という中国人、主に留学生が集合し、暴力的で異様な攻撃的高揚感に包まれながら、チベットの開放を訴えるグループに襲いかかり、暴力的に蹴散らしたところに居合わせたが、現地の警察は無力だった。この光景に衝撃を受けたことがきっかけであったと前書きで書いている。ハミルトン教授は、民主主義国家オーストラリアの首都で、言論の自由が特定の集団の暴力的な示威行動によってあっさり否定された現実に大きな衝撃を受けた。そしてこの時、同じことが日本でも起こっていたのだ。長野聖火リレー事件である。4月26日、聖火リレーが行われる沿道を4,000人以上とされる中国人が埋め尽くした。警備担当の警察は在日中国人留学生組織「学友会」が約2,000人の留学生を長野市に動員するとの情報を得て警備計画を練っていたが、想定を超えた人数が大型、マイクロバスを使って組織的に動員された。彼らは巨大な五星紅旗を振りながら、チベットを支援するグループ、東トルキスタン(新疆ウィグル)支援グループなどに暴力行為を加えた。「聖火を守る」ことを任務としていた警察官は中国人留学生の行為を黙認し、独立希望地域支援者が警察官に抗議する事態も発生した。その異様な光景に日本人は大きなショックを受けた。

長野オリンピック聖火リレーの時の写真、ここは長野県内である。
チベット支援の活動家は中国人からリンチに合う。

中国共産党の海外に住む中国人を操る武器は2つの法律である。

一つは「国防動員法」(2010年7月1日施行)
本法令は中国国内有事に全国人民代表大会常務委員会の決定のもと動員令を発動するもので内実は対外戦争用の法律である。対象者は18歳~60歳の男性、18歳~55歳の女性で、中国国外に住む中国人も対象となる。国務院、中央軍事委員会が動員工作を指導。この法律によって在外中国人のうち成人中国人はすべて軍属、戦闘員という位置づけとなる。

もう一は国家情報法」
国家の安全強化のため、国内外の「情報工作活動」に法的根拠を与えるこの法律は
2017年6月28日施行された。国家主権の維持や領土保全などのため、国内外の組織や個人などを対象に情報収集を強いるのが狙いとされている。習近平指導部は反スパイ法やインターネット安全法などを次々に制定し、「法治」の名の下で統制を強めている。国家情報法は工作員に条件付きで「立ち入り制限区域や場所」に入ることなどを認めたほか、組織や市民にも「必要な協力」を義務付けている。そのため海外で働いたり学んでいる中国人に対し、現地の法よりもこの国家情報法を優先させ、外国での非合法な情報収集と中国政府に対する情報提供を義務付ける根拠を与えている。海外在住の中華系住民は、母国に親や親族を持つケースがほとんどなので、「国防動員法」「国家情報法」に従わない場合、人質ともいえる縁者に害が及ぶことを恐れて中国政府に協力することになる。中国人留学生は、大学ごとに組織化され、中国にとって都合の悪い発言や行動をする人を中国総領事館に密告し、監視するスパイ網が構築されていることが豪州保安当局によって指摘されている。
この中国の海外侵略に移住した自国民を使う手法は「Kyte戦略」と呼ばれている。中国人をKyte(凧)に見立てて、彼らを操る糸がこの二つの法律である。
ASIO warns vice chancellors over Chinese spies on campus



3.中国のプロパガンダ機関孔子学院とは?

騒擾が起こった24日の翌日25日、クイーンズランド⼤学が、在ブリスベン中国総領事を、同校の語学・⽂化学部の客員教授に招聘したことに世論の注⽬が集まった。
AFPによれば、豪州メディア「シドニー・モーニング・ヘラルド」は、孔⼦学院の設⽴や中国語教育をめぐって、中国の政府機関 Hanban( Office of Chinese Language Council International、Confucius Institute Headquarters):「国家漢語国際推広領導小組弁公室(「漢弁」)」と業務提携した11校の⼤学から、その契約書を⼊⼿した。契約書の内容を⾒ると、各⼤学はそれぞれ中国側の要求に譲歩したことが浮き彫りになった。中国側は⾒返りに、各⼤学に資⾦援助や 3,000冊の中国語教材の提供などを約束した。 11校のうち、クイーンズランド⼤学、ラ・トローブ⼤学、グリフィス⼤学、チャールズ・ダーウィン⼤学の4校が⾏った譲歩が最も⼤きいという。この4校が合意した契約の中には、各校が「Hanbanによる『教育の質』に関する審査を受けなければならない」との規定が記されている。豪政府は、中国当局が運営する中国語教育機関「孔⼦学院」をキャンパス内に設置している同国の⼤学13校を調査していることが明らかにした。
孔⼦学院は中国当局の統⼀戦線戦略部⾨の出先機関とみられ、中国当局が孔⼦学院を通じて、共産党のイデオロギーを世界各国の教育現場に輸出しているとされている。 
関連記事:Confucius Institute Chinese language and culture teachers must 'love the motherland' to apply
26⽇付AFPによると、クリスチャン・ポーター司法⻑官は、豪政府は現在、13校の⼤学が孔⼦学院と結んだ契約内容が「外国⼲渉防⽌法」に違反していないかを調査していることを明らかにした。同⻑官は「外国代理⼈に関わる法令順守の透明化を図るために、私は各部⾨に対して、各⼤学と孔⼦学院との間で交わしたすべての契約書を精査するよう指⽰した」と述べた。 豪州では昨年、中国当局による政治・経済への影響⼒拡⼤に対する危機感から、外国⼲渉防⽌法と外国の代理⼈に登録を義務付ける法案が可決された。豪州にある孔⼦学院は外国代理⼈としての登録を拒否している。
米国ではトランプ政権が成立させた2019会計年度(18年10月~19年9月)の国防権限法(NDAA)に、教育機関に設置された中国政府の対外宣伝機構・孔子学院へ資金が流れるのを食い止める条項が盛り込まれている。孔子学院の活動を制限する初めての措置だ。テッド・クルーズ上院議員(共和党・テキサス州)は2018年8月、国防権限法改正案を追加し、孔子学院を設置する大学への資金援助を制限し、指導内容や契約情報などの記録を提供するよう求めた。トランプ大統領は13日、この改正案に署名した。これにより、米国の教育機関がもつ外国語教育プログラムの予算が、孔子学院に流れることを国防総省が阻止できることになった。孔子学院はスパイ活動などの違法行為が疑われるとして、連邦捜査局(FBI)の捜査対象となっている。米国ではその後、孔子学院の閉鎖が相次いでいる。上院議員の調査委員会Committee on Homeland Security and Governmental Affairsは米国の教育に対する中国の脅威をまとめた詳細レポートCHINA’S IMPACT ON THE U.S. EDUCATION SYSTEMを2019年2月27日に発表した。
一方、豪州には下記13の大学に孔子学院が設置されているがこの他、Confucius Institute at New South Wales Department of Education があり、NSW州への中国政府の食い込みが特筆される。
Queensland University of Technology、Griffith University、University of Queensland、University of New South Wales、University of Newcastle、University of Sydney、Charles Darwin University、University of Adelaide、La Trobe University、RMIT、University of Melbourne、Victoria University、University of Western Australia

このほかAspendale Gardens Primary School(Melbourn)Penleigh and Essendon Grammar School(Melbourn)、Bendigo Senior Secondary College(Bendigo)、Mount Clear College(Ballarat)、Sydney Jacaranda Confucius Classroom(Sydney)、Scotch Oakburn College(Lounceston)の6つの学校に孔子学級が設けられている。
NSW州の教育省によれば、Chatswood Public and high schools を筆頭に13の孔子学級がある。保護者たちは完全な共産主義の教義で教化をされることはないだろうが、台湾や天安門広場の大虐殺のような物議をかもす話題について触れられることはないだろうと語り、同校のカリキュラムへの懸念を示している。
Parents worried about Confucius Classrooms program in north shore public schools
Dragon dancing at a Confucius Day celebration.
Dragon dancing at a Confucius Day celebration.(The Daily Telegraph)

豪州の保
安当局によれば、中国政府のNSW州教育省への食い込みは時間と金をかけて行われており、米国のような対処をするにはまだ時間がかかると述べている。
昨年引退したChatswood high schoolsの校長、Tim Dotts氏の校長室の写真を見ると中国からのギフトで埋め尽くされており、中国との関係の深さが類推される。
C:\Users\Owner\AppData\Local\Packages\microsoft.windowscommunicationsapps_8wekyb3d8bbwe\LocalState\Files\S0\4\Attachments\Chatswood Public School principal Tim Dodds has been named in The Educator's 2016 Hot List of the top 40 most ou[287].jpg
Chatswood Public School principal Tim Dodds has been named in The Educator's 2016 Hot List of the top 40 most oustanding educators in Australia.(The Daily Telegraph)



一時帰国して見た、聴いた日本の現状


Cheers 2019年8月号記事

                         

AJCN Inc.事務局長 江川純世

6月、3年ぶりに日本に一時帰国した。インターネットを使って日本の記事を読み、動画を見て母国のことがわかっているつもりでも、かの地に住んでいる普通の人たちの生の声を聴くとわかっているつもりの日本の姿とは違った日本の姿が見えてくる。今月号では、事務局長が2週間弱の短い間にいろいろな方と話し、実際に自分の目で見た東京の姿から感じた日本の現状をレポートする。今回の一時帰国の大きな目的はCowraの日本庭園に能舞台を建設するプロジェクトを前に進めるための予備調査であったが、このプロジェクトについては別稿で紹介する。


1.日本の一般人は政治に無関心?世論調査アンケートの「どちらでもない」って何?
AJCNの事務局長として慰安婦像設置反対運動や、オーストラリアにおける差別やいじめの問題に携わっていると、自分の意志を表し、政治的立ち位置をカミング・アウトしなくてはならない場面に遭遇する。オージーは自分と仲間の利益に反する動きには敏感で、即座にデモなどを組織して、自分たちの権利と要求を周囲に訴えかけるし、選挙にも積極的に参加する。投票者としてだけではなく支持する候補者のサポート活動や政策への自己の意見表示にも前向きである。(投票率が高いのは投票しないと罰金を取られる仕組みのせいもあるが)
それに比べると日本ではいつも投票率が50%を超えるか超えないかの水準で、選挙前の支持政党アンケートでも「どちらでもない、どちらとも言えない」という回答項目が設定され、その「どちらでもない」がどの選挙でも30%前後あるのが普通である。


私は「どちらとも言えない」という回答は曖昧過ぎて無意味だと思う。「関心がない」と「わからない」の回答項目を設定すべきであろう。そのほかには「支持する」「どちらかといえば支持する」「支持しない」「どちらかといえば支持しない」ですべての回答をカバーできる。無関心と答える人は、自分は出た結果に文句は言わないし、そのために不利益を被っても仕方がないという意思表示をしたことになる。「わからない」と答えた人はその時点で情報が不足しているか、自分に自信がなく投票する資格がないと考えていることになり、「関心がない」人と同じくどんな結果も甘んじて受ける覚悟があるのだろう。私は憲法改正や消費税増税などの重要案件にも「わからない」人が多いのは、日本人に危機感がない、頭の中がお花畑なのではと思っていたが、もう一人の仲間は違った角度からこう説明した。

無関心、わからないという表現を少し違った言い方で言えばそれは、政治と自分の生活のリンクがその人の中でしっかりされていないことを示している。尖閣諸島の日本の領海に中国の軍艦が日常的に徘徊していても、それが自分の賃金、健康、仕事、家族の安寧にどう影響するのか、それがわからないのだ。憲法改正もしかり。今、日本の景気は少し持ち直しているように見えるが仕事があるというだけで、賃金は少子化を食い止めるレベルには程遠い。特に若い世代、ロスジェネ世代は将来に少しぐらい不安があっても今日を生きられるだけでありがたいという発想だ。それが18歳から39歳の男性の現政権の支持率が際立って高い理由であろう。一方リベラルといわれる左派や野党はこの状況をどうしようと思っているのか、仲間の野党に対する評価を聞いてみた。1991年のソ連崩壊後、北朝鮮の社会主義が前近代的な王朝政治であることがわかり、また残存する唯一の社会主義大国である中国も金と暴力で人民を統制し、膨大な軍事費を投入して軍事強国としてアメリカに対抗しようと海外進出に余念がない。リベラルが信奉する社会主義、共産主義の思想は「現実」に踏みにじられ、その後新たな鳥瞰的思想の構築ができずに、弱者の立場を借りて民主主義、人権擁護、多文化主義、社会的寛容などを教条的に呪文のように唱えているだけである。その主張もグローバル化の進行により「物」「金」の移動の自由に続く大量の「人」と「情報」の移動により、多文化主義(Multiculturalism)から多元主義(Pluralism)へ回帰(民族主義の復活)している現実の前では時代遅れの原理主義に映る。日本の野党はこのような世界の動きについていけず、何でも反対し、過去の民主党政治の失敗に対する反省もなく具体的な対案出せず、ただ与党の敵失をあげつらうだけと見られているので、国民の選択肢から完全に外れているとのことであった。



2.日本の未来は絶望的か?
今回の帰国でまずショックだったのが、到着ターミナルのバゲージ・クレームの侘しさであった。曲りなりにも成田空港は日本第一の国際空港であろう。天井には裸の蛍光灯のみで薄暗く、これからに日本の旅が始まるというわくわく感など持てる気持ちになれない。

「成田空港 バゲージクレーム 写真」の画像検索結果

この失われた30年間の日本の国際的ポジションの凋落についてはここでは触れないが、今もデフレと賃金安で苦しむ国民の呻吟は、街に出ても感じられる。すべてが安いし、すべてが過剰ともいえるサービスである。「おもてなしの精神」もやりすぎの感がある。
憲法改正や少子化対策などこの国の未来を決める大事な実効的法案がいつになっても出てこない。豪州のTry & Error方式のスピード重視の法案策定、実施に比べると日本の動きは極端に遅い。政府与党は経済にネガティブな影響を確実に与える消費税増税を唱えながら、きっと参議院選ではマジョリティを取るのだろう。国民にとって極めて狭い選択肢しかない状況で、30%前後の無党派層の投票行動を動かす「風」は吹くのであろうか。今の日本の状況は「愚民政治」「人気目当てのポピュリズム」とも違う八方ふさがりのように見える。

こんな情勢の中、6月12日、自民党の中で青山繁晴氏ら5人の議員が「日本の尊厳と国益を守る会」の発足を発表した。この会の目標は三本柱として、父系の皇位継承、中国や韓国資本による不動産買収が進む現状から外国資本による土地買収の拡大防止、そしていわゆるスパイ防止法の制定を掲げ、立法措置を目指すとしている。そのほか改正入管法の運用の改善、生活保護問題、永住許可の条件、国会議員と閣僚の国籍問題、沖縄県民を先住民族とするような動きの防止、内閣情報局(仮称)というインテリジェンス統合機関の創設、米軍横田基地空域の見直しなどにも取り組みたいとのことで、参加人数は数十名と見込まれている。自民党の外でも保守系団体であるチャンネル桜の水島総氏が新党立ち上げを視野に入れた活動組織を創設し、AJCN山岡代表が最近インターネットを使った「日本エア野党の会」という有権者の勉強会を立ち上げた。https://www.tea-party.jp/

これら中道保守系のグループの動きは、産業界や財務省、経産省、国交省、外務省などの官僚と既得権益でがんじがらめ状態にあり、60年余にわたる中韓のSilent Invasion(浸透工作)に侵されている大半の自民党議員にはできない戦後(敗戦)レジームからの脱却を目指し、真の独立国家にならない限り日本は滅亡するとの強い危機感に突き動かされたものであろう。また国民を覚醒させたいという強い思いも感じられる。健全な民主主義は、2大政党制からといわれて久しいが、今の野党がその一方を担うことができない以上、自民党内または中道保守側からもう一つの勢力を作り出そうというのは必然のように思われる。5年後10年後今の自民党は割れて、2大政党に分化していくというのが私の読みである。

日本滞在中、チャンネル桜の要請で、オーストラリアにおける中国の浸出について、スタジオで話す機会を得た。わかりやすいようAJCNメンバーが集めた写真を使ったので、日本の方々に中国のSilent Invasionの実態、恐ろしさについて理解してもらえたと考える。




3.日本の強みは何か、黙っている日本国民はいつ自己を主張し始めるのか?
私が深く憂うるのは日本の若者たちの給与の低さとブラック企業の跋扈である。少子高齢化が進行中の日本にとって今大事なのはいかに子供を増やすかである。それなのに政府、官邸、立法府、行政府は間接的な保育所の整備とか、さらに賃金を低くする可能性が高い入管法の改正による外国人労働者の大量導入などを行っている。フランスで効果を上げているような、子供を作れば可処分所得が増える大胆な減税政策などを導入すべきであろう。少子化改善という国益に直結する課題を、家庭の利得と直接リンクさせる政策の導入が必要であり、国民はそのために声を上げ新しい勢力を応援してほしい。

今回能舞台の調査のため、実際の能舞台をいくつか視察した。私が舞台に立ったこともある観世能楽堂は渋谷松濤町からGINZA SIX地下3階に移転していた。時間があったので同ビル6階の蔦屋を訪れ驚いた。DVDや一般書の販売店ではなく、世界のアートに関する図書が集められ販売されていた。ご存じのように日本の美術書の印刷のクオリティーは世界のトップクラスである。日本の本だけではなく各国の美術関係書、文房具小物、日本刀のコーナーまである。これらの本を眺めていても楽しいが、驚いたのは販売されている本の種類の多さとディスプレーであった。店内には椅子が各所に置いてあり、そこで展示されている書籍を自由に読むことができる。それだけではなく同じフロアーにコーヒーショップがありそこでも自由に本が読める。これはアメリカのライブラリー型書店であるが、そのディスプレーのセンスの凄さが、いかにも日本人と感じた。日本人は、パラダイムが変わるほどの変化を起こすことは苦手であるが、同じプラットフォーム上での改善・改良には極端といえるほどの執念を見せる。いわゆる「職人気質・魂」というやつである。蔦屋の中心の広いイベント・スペースには安藤忠雄の作品が置かれていた。それをハイセンスな本のディスプレーが囲んでいる。あまりのセンスの良さに外国人がディスプレーの写真を撮っていた。

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安藤忠雄の作品が掲示されているイベント・スペース(銀座シックス 蔦屋)
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ハイセンスな書籍ディスプレー(銀座シックス 蔦屋)

日本人のモラルの高さは、東日本大震災の時の被災者の行列、落し物が返ってくる、無人の野菜販売所が機能している、ベンディング・マシーンが壊されずそこかしこで動いている、など世界中に知れ渡っている。この民度の高さは、農耕民族としての長い歴史が作ったものと言われている。集団での固定した地域での労働、トラブルのなしでの解決方法、そしてでない「お上」に従う大人しさ、アミニズムに似た多神教的宗教観などが下地にある。

今話題に上っている皇室の存在も日本人の精神的安定と連帯感の源といえるかもしれない。今年スペインを再訪して西欧の王と天皇の違いを再認識した。マドリードの王宮には3百数十の部屋があり、それぞれに、反抗するものを殺し世界の植民地から吸い上げた富がこれでもかというほどちりばめられている。翻って天皇の住まい、京都御所の質素さはどうであろう。外敵の侵入を防ぐはずの壁は大人が手をかけて登れる高さである。中の建築物も木と紙でできており、防壁らしきものもない。多くの時代、天皇は時の覇者に利用されることはあっても自ら統治の実行者として権力をふるうことはなかった。天皇の主務は民のた
めに祈ることであった。

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京都御所の築地壁
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マドリードの王宮の外観と内部

今、令和の時代、強制されずとも皇室は国民の尊敬と親しみの対象となっている。
天皇がいるということも日本人の心の安定にとって大きな存在であり、日本人をまとめている強い社会的紐帯といえよう。だから戦後連合国占領軍が日本人のまとまりを壊すため、まず天皇制の廃止を検討したのであろう。
このモラルの高さ、職人気質は日本の歴史の産物であり、日本の美しい自然、文化とともに今の日本人にとって過去からの贈り物である。これらを未来の日本の強さとし、世界の各国と伍していける価値をどう創造できるか考えてみたい。

4.山岡鉄秀AJCN代表の書作紹介
今ほぼ毎日YouTube上の動画や記事でAJCN山岡代表のアウトプットを見ることができます。著作も最新作が先月発行され、著作(ケント・ギルバートさんとの共著含む)は4作となりましたので下にご紹介します。

1)山岡代表第1作目「日本よ、もう謝るな!」
ストラスフィールド市の慰安婦像設置を阻止した経緯と外務省と朝日新聞のひどすぎる英語発信、メディアや国連などでの反日プロパガンダについて具体的に書かれています。

C:\Users\Owner\Documents\慰安婦像問題\Cheers 関連\Cheers 2019年8月号記事用materials\山岡代表第1作目「日本よ、もう謝るな!」.jpg



2)山岡代表2作目「日本よ、情報戦はこう戦え!」
情報戦に勝つための方策について、豪州での慰安婦像設置に成功した体験から書き下ろしています。

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3)山岡代表3作目「朝日新聞との対決 全記録」
日本語では謝って記事取り下げても、英語では相変わらず日本を貶める行為を継続している朝日新聞の欺瞞を暴いたケント・ギルバート氏との共著です。特定の記事が検索されないように操作していたことも突き止め、メタ・タグというIT用語を世に知らしめました。

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4)山岡代表4作目最新作「新・失敗の本質」
日本の失われた30年の原因を探り、グローバル化にどう対応したらよいか、日本の生き残り策についての提言です。クリティカル・シンキング、文化コード、ダブルループ・ラーニング、アンラーニングなど日本人が身に付けるべき思考法について解説しています。

C:\Users\Owner\Documents\慰安婦像問題\Cheers 関連\Cheers 2019年8月号記事用materials\山岡代表4作目最新作「新・失敗の本質」.jpg


以上