これでもあなたは韓国政府の主張を信じますか? レーダー照射事件に見る韓国自壊の予兆


最近の韓国の挑発ぶりは激しさを増していますが、昨年12月に起こった自衛隊機に対する火器管制レーダー調査事件についてまとめ、韓国国内ばかりではなく海外に住む韓国人の方々にも考えてもらう材料として提供しました。(Cheers 2019年2月号に掲載)


AJCN事務局長 江川純世

日韓関係は昨年後半に次々と起こった出来事により底なしに冷え込んでいる。日本政府が2013年に策定した「2018年防衛大綱」は2018年12月に5年ぶりに見直された。その中で安全保障協力の推進対象国を順番に並べ、韓国を米国、オーストラリア、インド、東南アジア諸国の後5番目に記した。韓国が米国の次に挙げられていた2010年と2013年の防衛大綱と比較すると、安全保障協力パートナーとして韓国の重要性を3段階落としたわけだ。10月の済州島における国際観艦式からの日章旗排除/海上自衛隊不参加、同月30日から続く新日鉄住金ほかに対する韓国大法院の国際法違反ともいえるいわゆる“徴用工”裁判の賠償命令、11月の日韓慰安婦合意の実質的破棄(和解・癒し財団の解散手続き開始)、同月に発覚、炎上した「BTS(防弾少年団)」の原爆Tシャツ着用問題、そして年末に起こった韓国軍艦によるP1海上自衛隊哨戒機に対する火器管制レーダーの照射事件と、両国政府間の対立と国民感情のわだかまりは極限にまで達しているように見える。これらの中で、実際に何が起こったかを客観的に観察することで、その本質をつかめるいわゆる「レーダー照射事件」を取り上げる。そこから今の文政権の迷走とも見えるが確固たる方針を見て取ることができる。





1.「レーダー照射事件」の経緯

  • 12月20日 午後能登半島沖において海上自衛隊所属P-1哨戒機が韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」(クァンゲト・デワン)から数分間、複数回に渡り火器管制レーダーを照射された。現場は日本の排他的経済水域(EEZ)内で、竹島からは離れている。防衛省は照射を受けた後、韓国側に無線で意図を問い合わせたが応答はなかった。
  • 12月21日  岩屋毅防衛大臣が記者会見を開き事件の内容を明らかにした。記者団に「韓国側の意図ははっきりと分からない」としつつ、「極めて危険な行為だ」と批判した。
  • 12月22日 防衛省は本事案について、慎重かつ詳細な分析を行い、当該照射が火器管制レーダーによるものと判断し、広範囲の捜索に適するものではなく、このレーダーの照射は不測の事態を招きかねない危険な行為であり、仮に遭難船舶を捜索するためであっても、周囲に位置する船舶や航空機との関係において非常に危険な行為で、韓国も採択しているCUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)において、火器管制レーダーの照射は船舶又は航空機に遭遇した場合には控えるべき動作として挙げられていることをあげ、韓国側に再発防止を強く求めて行くことを発表した。また、韓国海軍は「火器管制用レーダーを作動させたことは事実だが、日本の哨戒機を狙う意図は全くなかった」と話していると報道された。
  • 12月23日 河野太郎外務大臣は直接的な批判を抑制し「日韓関係を前向きに進めるためにも政府一丸となった対応を(韓国側に)お願いしたい」と述べた。
  • 12月24日  金杉憲治外務省アジア大洋州局長がソウルの大韓民国外交部を訪れ(局長級協議)、強い遺憾の意を表するとともに、再発防止を強く求めたが、韓国政府は今までの説明から一転して、「レーダー照射を行った事実はない」として日本が事実と異なる発表を行った事を批判した。22日時点では韓国軍は「火器管制レーダーを作動した」と自ら説明しており、説明に矛盾が発生している。これに対し岩屋防衛大臣は「事実関係の一部に誤認がある」と記者会見で指摘し、防衛省名義の文書で「火器管制レーダー特有の電波を、一定時間継続して数回照射された」と反論する声明を発表した。‬
  • 12月27日 日韓防衛局当事者同士のテレビ会議を開催。会議前、映像を公開する方針を日本側からあらかじめ伝えた。日本側が事前に通告して配慮した形だがその際、韓国側は激しく反発したという。
  • 12月28日  17時12分、 意見の食い違いが埋まらないため防衛省はP-1が撮影した当時の映像を公表した。
    https://youtu.be/T9Sy0w3nWeY?t=10(日本語)
    https://youtu.be/s93-l68D3Eo?t=10 (英語)
    「航空法規における船舶と航空機の離隔距離規定」を参考資料として添付。
    危険高度150m未満。

  • 2019年1月3日に韓国国防省は日本側の動画に対する反論動画(ハングル語版)をYoutubeにアップ、公表した。https://www.youtube.com/watch?v=4dpWAWpzWyE 
    また翌日4日英語版を公表した。https://www.youtube.com/watch?v=CGWO4...
    反論動画のほとんどは自衛隊の発表した動画を用いており、これにBGMを流しながらテロップで反論する形に編集している。「日本は人道主義的な救助作戦の妨害行為を謝罪し、事実の歪曲(わいきょく)を即刻中止せよ」と要求している。



2.韓国側の主張の遷移(日本政府の反論)

  • 12月21日夜 通常の作戦活動中だった。日本の哨戒機を追跡する目的ではなかった。(韓国国防省)韓国側は当初、悪天候だったためレーダーを総動員して北朝鮮の遭難船を捜していたとしていた。
    (映像では天候は良好で波も穏やかだ。駆逐艦の近くには捜索していたとみられる漁船、ゴムボートも映っている)
  • 12月24日 海自機が駆逐艦上空を飛ぶ「特異な行動」を取った。カメラを向けたが電波放射はなかった。(韓国軍幹部)
    (動画の前半で海自機は駆逐艦の左側から映像を撮影し、船尾から一定の距離を保ち右側に回り込んでいる。防衛省は字幕で国際法や国内法で定める高度を飛行していたとの指摘も付け加えた。「めちゃくちゃすごい音(電波)だ」と映像にはレーダーが当たった際の乗組員同士の緊迫したやりとりが残されている。)
  • 12月25日 誤解解消への協議が進められる。(韓国国防省)
    (哨戒機からの呼びかけに応答しなかったのは「通信が微弱だった」という反論にも疑問が残る。海自機は3つの周波数を使って英語で「目的は何か」と繰り返し意図を確認している。海自関係者は「距離や天候を考えれば聞こえているはずだ」と話す。)
  • 12月28日 韓国国防省は「実務協議のわずか1日後に、日本が映像を公開したことに深い憂慮と遺憾を表明する」とした報道官談話を出した。「映像は単純に、日本の哨戒機が海上で旋回する場面とパイロットの会話の場面だけを収めたものだ。火器管制レーダーを照射したとの日本側の主張の客観的証拠と見ることは常識的に難しい」と反論(韓国政府)
    韓国軍関係者も記者団に、「日本側はレーダーを照射されたと言いながら、周波数の特性を一つも公開していない」と述べ、証拠は不十分との認識を示した。むしろ海上自衛隊のP1哨戒機が駆逐艦の上空150メートルまで接近するなど、韓国側に「相当な脅威」を与えていたと主張。
    (照射レーダーの周波数など決定的な材料は「自衛隊の持つ能力に関わる」として開示を見送った。(防衛省)日韓関係筋によると、韓国側は当初、レーダー照射問題を公表しないよう日本政府に要請した。)
  • 1月3日と4日に公表された韓国側の反論動画には韓国海軍が撮影した部分は約10秒しかなく、ほとんどが自衛隊機の撮影した動画を編集して自国の反論をドラマティックなBGM付きで主張しているもので、韓国側の主張を裏付ける証拠は何もない。サムネイル写真は下記のように既存の写真2枚をコラージュ加工して自衛隊哨戒機が“低空威嚇飛行”したとの印象操作をしている。Youtubeでは低評価(ハングル語版の高評価に対する低評価率は50対50)が多く、コメントには反証になっていない、論点を自衛隊の危険飛行にずらしている、あきれるばかりとのコメントがあふれた。(自衛隊動画の高評価に対する低評価率は100対7)
    (韓国側の脅威になる低空飛行を証明する証拠がない、映像からは266m(P1全長38m×7)位の高度を飛んでいる、真上は飛んでいない、火器管制レーダーを照射していないという証拠がない、自衛隊の韓国側に対する無線の呼びかけが聞こえている動画の音声に対し、応えていない理由の提示がない、日本の飛行ルールの説明に対する批判をしているが自国が則っているルールの説明がない、交信音声を削ったり、サムネイル写真をコラージュで作成するなど印象操作が顕著という意見が多く、「ひどい。こっちも反論し続けないとだめだ」との防衛省幹部の声があがっている。)
韓国反論動画で発覚したサムネイルのコラージュ加工



3.韓国政党、メディアの反応

問題発覚当初から韓国国内では下のような決め付けた見方が主流。

  • 韓国の与党「共に民主党」は29日付の論評で、「最近支持率が落ちている安倍晋三首相が、反韓感情を刺激して保守層を結集しようとする汚いやり方で映像を公開したと、日本メディアは報じた」と主張。「日本政府は不純な意図で安保を脅かしている」と批判した。(韓国の報道前にこのように報道した日本メディアはない。朝日新聞が12月30日”レーダー映像公開「安倍首相は汚い」 韓国与野党が批判“との記事を掲載しているのみ)
  • 野党「正しい未来党」もこの日付の論評で映像公開について、「安倍首相が韓日の軍事問題を国内政治に利用しようとしている」と非難。「安倍首相は真実の究明より政治攻撃に集中する姿勢を即刻やめるべきだ」と主張した。
  • 「哨戒機が接近した距離だけ見ても、韓国駆逐艦の乗組員に脅威を与えるのに十分だった」と強調。「支持率が落ちている安倍首相が国内世論のためにあおっているとの観測も出ている」とも批判。(12月31日東亜日報)
  • 「哨戒機の低空飛行は米軍艦に自殺攻撃を敢行した『神風』を連想させるという指摘もある」と自衛隊機を強引に神風特攻隊に結びつける報道。(同日ソウル新聞)
  • 「一方的な動画公開は深刻な外交的欠礼」と断じ、「政治指導者が国内政治に利用しようとむしろ葛藤をあおったのは嘆くしかない」と安倍首相を批判。(同日韓国日報)
  • 「いったい安倍首相は韓日関係をどこまで悪化させる考えなのかを問いたい」とし、「国内の政治的利益のために隣接国との外交葛藤を活用する態度を直ちにやめるべきだ」と安倍首相の“悪意”を強調。日韓関係悪化の責任を安倍首相に転嫁した。(同日ハンギョレ新聞)

韓国側の動画公表後は韓国大手メディアは韓国側の動画に盛り込まれた内容を説明するばかりで明確な社としてのコメントを出していない。


4.問題点

1)事実を確認するための残るエビデンス
解決のため日韓から提供できるエビエンスとしては、火器管制レーダーの記録データおよびフライトレコーダーの飛行記録(日本側)と撮影されたと言われている光学カメラの映像データ(韓国側)が考えられるが双方感度、周波数情報など軍事機密満載のため生のデータは出されないであろう。特に韓国駆逐艦が搭載する火器管制レーダー「STIR-180」の周波数データー(X/Kバンド)を公表すれば周波数設定を変えなければジャミングで無力化される。「STIR-180」は16か国で使われており影響が大きい。韓国側は150mの危険飛行と言っているので撮影したという光学カメラの映像データ(距離、高度データ付き)を公表すれば主張の裏付けとなるだろう。(韓国側の反論動画にはこれが含まれていない。レーダー波の波形を日本側が公表することを検討中との情報も流れている)
客観的な事実は、防衛省が公表した動画とこれらのエビデンスをもとに簡単に割り出せるので、韓国が率直に謝罪すれば双方の解決目標であるべき再発防止の合意形成はそれほど難しくないだろう。しかし今回明らかにされた多くの情報からはもっと深刻な問題が見えてくる。

2)囁かれる真相
「なぜ、わが国のEEZ内で韓国の救難警備艦「参峰」(サンボンギョ)が北朝鮮の漁船員の救難?にあたっていたのか」「この救難艦の側に韓国海軍の駆逐艦が遊弋していたのは何故か」「これは一時的なものか恒常的に行われている行為なのか」などの疑問が次々と湧いてくる。

本来この海域で漁船遭難が発生したならば、たとえそれが北朝鮮の違法操業漁船であっても当然海上保安庁の巡視船などが救助にあたる。そもそも北の漁船がSOSを発していたら、日本側も傍受していたはずだがそのような情報はない。しかし今回韓国の警備艦と軍艦旗を掲げていない軍艦までが何らかの情報を得て、この凪いだ海上を漂う北朝鮮の遭難船?の側にいた。これは、当該海域での北朝鮮籍船の操業または何らかの活動を支援しようとしていたのではないかと勘繰られても仕方のない行為であり、現在の南北関係を見ているとその疑いが濃厚でもある。即ち、北朝鮮の漁船を救助する形の警備艦の護衛にあたる韓国海軍の駆逐艦が、「これを発見した(見られたくないところを見られた)海上自衛隊の哨戒機を排除する目的で火器管制レーダーを数回にわたり照射した」のではないかという疑問が浮かぶ。となれば、今回の事案は決して現場の一握りの士官らによる嫌がらせではなく、艦長が承認し、文政権も承認した「軍事的行為」ということになる。

恐らく、この情報を共有する米軍は韓国への今後の対応を検討していることであろう。
このようなトラブルが続発すると、日本にとって韓国も中国同様、「潜在敵国」と位置付けてもおかしくないと言ってよいであろう。実は米国内でも、韓国の文政権は北朝鮮との融和を最優先し、北東アジアをめぐる既存の安全保障体制を危うくしているとの危機感が強まりつつあるようだ。 トランプ政権には、米朝首脳会談で合意した北朝鮮の非核化政策が、文政権の対北融和策によって台なしにされかねないとの危機感が強く、文政権への強い不信や批判が抑えきれなくなっているというのだ。

下は自衛隊によって確認された東シナ海での韓国の瀬取りの写真である。今回最もありうる真相は韓国軍による瀬取りではなかったのかという見方が広がっている。

瀬取りせどり、英: Ship-to-ship cargo transfer)とは、洋上において船から船へ船荷を積み替えることを言う。 一般的には親船から小船へ移動の形で行われる。
東シナ海海上で韓国籍のジェイホプホと北朝鮮国籍の南山8号、互いに付着している様子が自衛隊により捕捉された、南山8号は、制裁対象に上がった船舶であり、両方ともタンカーである。以来、日本はその問題について韓国側外交部に問い合わせし、捜査を依頼したが、韓国政府は事件そのものを否定している。以降、日本では日本防衛相と外相の両方が記者会見を開き、事件の内幕を公開したが、国内のメディアでは、報道自体がなされていない。

いずれにせよ、このように事態が進展している以上、レーダー照射の事実関係というレベルで問題を矮小化してはならない。日米韓が連携して北朝鮮に対する確実な制裁の履行を担保に米朝交渉を再開しようとする中、このような背信行為がどのような意志から生まれ、いかなる結果を生むのか、韓国及び海外に住む韓国人によく考えてもらいたい。文政権は、制裁の網の目をかいくぐりながら北朝鮮を物心両面で助け、韓国の防衛能力を自ら削ぎ、悪手で経済を弱め、社会の分断を増大させながら北の主導下での個人崇拝型全体主義国北朝鮮への統合を、確固たる意志をもって推進、実現しようとしているように見える。
それが実現したとき、日本の安全保障防衛ラインは38度線から対馬海峡まで下がり、韓国では再び暴動や粛清によって多くの国民が命を落とす事態になるだろう。また、朝鮮戦争時のように、難民が大挙して日本に押し寄せる恐れもある。今回の事件も、極左文政権の下で自死に向かって漂流する韓国の現状を象徴している。残された時間はもう長くはない。