性行為を強いられた慰安婦。誰が強要したのか?朝日新聞は行為者を明示せよ!


AJCNは継続して朝日新聞の慰安婦報道の嘘を追及してきました。2014年8月、同社が日本国内で虚報を認めた後も、英語記事で印象操作に基づく慰安婦強制ストーリーを拡散し続けている同社の姿勢を批判しています。今回の記事は朝日新聞の英語記事の作為的なプロパガンダともいえる表現を改めることをAJCN山岡代表がケント・ギルバート氏と共に同社本社を訪問し申し入れをしてから、同社と行った交信をもとに、さらに同社の欺瞞を明らかにしています。その後表現の修正どころか、記事の撤回と挺身隊と慰安婦を混同したという重要記事をメタタグを使って隠すという同社の作為が発覚して、日本中に批判の渦を巻き起こしたことは皆さんご存知のところです。メタタグ事件はまた別の機会に紹介するとして、まずは英語記事の表現に係わるやり取りをお読みください。


朝日新聞本社訪問

平成30年7月6日午前10時。大江戸線築地市場駅を出ると、巨大なレンガ色の建物が降りしきる雨に煙っていた。朝日新聞本社。都心の一等地にそびえる重厚なビルが、この新聞社が長年日本の言論界に支配的な存在として君臨して来た歴史を偲ばせる。雨をよけながら、ケント・ギルバート氏の到着を待つ。報道陣も集まり始めた。

朝日新聞英語版の慰安婦記事に対する訂正などを求める署名と申込書と提出するため、同東京本社に来訪した米国カルフォルニア州弁護士ケント・(左)とAJCN代表の山岡鉄秀氏=7月6日、東京都中央区 (産経新聞8月12日記事から)

 ちょうど2年前から追いかけている朝日新聞英語版における慰安婦強制印象操作問題で、ついに朝日新聞社に直接申し入れる日が来た。一般の国民が気付かないところで連綿と続く英語による印象操作でどれだけ国益を損ねたか、計測不能だ。

80年代と90年代、吉田清治のつくり話が信じられていた頃、朝日新聞が英語版で性奴隷(Sex Slaves)という言葉を躊躇無く使っていたことを私は知っている。国会図書館でフィルム化された記事をリールでくるくると回しながら、当時何が世界に発信されたかを見て暗然とした。11歳の小学生が日本軍の慰安婦にされた、という衝撃的な記事まであった。朝日新聞は吉田の証言が虚偽だと判明した後も、ずっと放置して来た。その間に、慰安婦イコール性奴隷という固定概念が世界中にまき散らされ、浸透した。

2014年8月、やっと吉田清治証言の虚偽を認めた後、朝日新聞は英語版でも性奴隷という言葉を使わなくなった。その代わり使い始めたのが、次の表現だ。

Comfort women, who were forced to provide sex to Japanese soldiers before and during World War II.
第二次大戦前、および大戦中に、日本兵に性行為を強制された慰安婦 
Comfort women is euphemism for women who were forced to provide sex to Imperial Japanese troops before and during the war. Many of the women came from the Korean Peninsula.
慰安婦とは戦前および戦中に日本軍部隊に性行為を強制された女性たちの婉曲表現である。女性たちの多くは朝鮮半島から来ていた。

慰安婦に関する記事であれば、これらのフレーズやセンテンスが文脈にはまったく関係なく機械的に挿入される。たとえ、日本政府が国連で慰安婦の強制連行や性奴隷化を否定したことを伝える記事であってもだ。

今回、朝日新聞側で我々に対応したのは、及川健太郎編集局ゼネラルマネージャー補佐、後田竜衛広報部長、河野修一広報部長代理の3人だった。大西達夫弁護士を加えた我々3人は小さな応接室に通され、向かい合って座った。我々は印象操作中止を求める10,411筆の署名の束を手渡し、努めて穏やかにこちらの論点を説明した。朝日側も紳士的に対応していた。


受動態の陥穽

しかし途中、ギルバート氏の語気がやや荒くなる局面があった。ギルバート氏は、受動態を使用して印象操作を狙う姑息さを指摘していた。

“Were forced”と受動態で書かれているから、強制されたのは明らかである。しかし、”By XXX”という部分がないから、誰が強制したのか明示されていない。性奴隷とか強制連行という言葉もどこにも書いていない。しかし、これまで日本軍による強制連行が散々流布されてきた事実や、日本兵に対して性行為を提供させられた、という文脈から判断して、読者は当然「日本軍が組織的に強制連行して性奴隷にした」と思い込んでしまう。実に姑息な印象操作の手法だとギルバート氏は憤る。ここで肝心なことは、私のような英語を日常使用する日本人だけではなく、アメリカ人で弁護士のギルバート氏がそう断言する、という事実だ。もちろん、他にも多くのネイティブスピーカーが賛同している。この点は議論の余地がないと言っていい。


我々は次の四点を申し入れた。

  1. 今後、前記の表現(forced to provide sex)を使用しないこと
  2. 吉田証言が虚偽であり、記事を撤回した事実を改めて英文で告知すること
  3. もし、前記表現が軍隊による物理的強制連行や性奴隷化を意味しないと主張するなら、具体的に、「性行為を強制された(forced to provide sex)」とは何を意味するのか明確に説明すること。
  4. 今後慰安婦の説明的表現を追加するなら、comfort women who worked in brothels regulated by the military authoritiesなどの表現を使用すること。

我々は、朝日がforced to provide sexという表現が、軍隊による物理的な強制を意味しないと強弁することを想定して、3の質問を入れていた。我々の主張を否定するならば、実際に何を意味しているのか明確に説明すべきだ。後田広報部長の「重く受け止めて真摯に回答する」という言葉を受けて、我々は朝日新聞本社を後にした。


さらなる受動態で答える朝日新聞

回答期限の7月23日、夕方になって受け取った後田広報部長名の朝日の回答全文はウェブサイト(https://stop-asahi-propaganda.jimdo.com/)を見て頂くとして、私は上記3の質問への回答を見て唖然とした。

また、「forced to provide sex」という表現について、英語ネイティブスピーカーが読めば、「軍隊による物理的な強制で性行為を強いられた」という印象を受けると指摘されていますが、当該表現は「意に反して性行為をさせられた」という意味です。

受動態で行為者を曖昧にするのは公正ではないという指摘に対し、「意に反して性行為をさせられた」と受動態で答えている。これではまったく答えになっていない。”forced”と書いているのだから、意に反しているのは当たり前である。強制性を前提としながら、行為者を明示しないという無責任な行為を止めようとしない強い意思を感じる。

おそらく朝日は、理由がなんであれ、本人の意に反していたらそれはすなわち強制であり、性奴隷である、と言いたいのだろう。いわゆる広義の強制というわけだ。しかし、広義の強制という捉え方なら、強制した行為者も様々だ。昔は、前金をもらって子供を奉公に出す習慣があった。売春などの醜業もこれに含まれた。その場合は貧困に強いられたとも言える。また、朝鮮ではそのような契約を結ぶ権利は親にしかなかったから、親に強いられたとも言える。娘が嫌がっても、女衒が強引に連れ去ったケースもあったそうだから、朝鮮人女衒も強制の行為者だ。

朝日新聞の回答があまりにも曖昧であったため、我々は7月26日付で追加質問をすることにした。この、「forced to provide sex」の意味を巡る問題に関しては次のように質問した。

Forced to provide sexという表現の意味は「意に反して性行為をさせられた」という意味だとのことですが、forcedと書けば、意に反していたのは当然で、この表現の読み手、取り分け英語を母語とする読者の通常の言語感覚からすれば、たとえby XXXという受動態の構文における行為者の明示がなくとも、私どもが指摘している「軍隊による物理的な強制で性行為を強いられた」という印象と何ら変わりがありません。そこで改めてご質問いたします。御社が使用するforced to provide sexというフレーズにおいて、「女性の意に反して性行為をさせた」のは誰なのでしょうか?明確にお答え願います。


63年前の朝日新聞記事

私の手元に国会図書館で見つけた一枚の記事がある。昭和30年8月15日発刊の朝日新聞朝刊だ。終戦10周年特集として東京本社で開催された座談会の記録である。タイトルは「終戦直後の苦心」「調達命令乱れ飛ぶ」とある。占領下でGHQの命令を受け、東奔西走した人々の苦労話披露会という趣だ。

参加者は以下の通り。
田中栄一 内閣官房副長官
与謝野光 東京都衛生局長
福田赳夫 民主党衆議院議員
曽禰 益 右社参議院議員
大池 真 衆議院事務総長

与謝野光は与謝野晶子の長男で、終戦時は東京都防疫課長だった。座談会で与謝野は次のように語った。

「9月の14,15日だったか、マックアーサー司令部から呼び出しがかかったので、行ってみると実は君を呼んだのはこういうわけだといって大きな東京の航空写真を出して、実は折いって頼むのだけれど兵隊のために女の人を世話してくれという。(笑)よく調べたものでそういう場所は地図にちゃんと点が打ってある。将校にはどこ、白人兵にはどこ、黒人兵にはどこがいいだろうか相談に乗ってくれという。将校はいいけれども、黒人兵には僕も弱った。後で恨まれるだろうと思って。(笑)仕方なしにある場所を考えたんだが……。そのとき性病でもうつされては困るから予防措置をやれといわれたが薬がないから責任が持ち切れないというと、よろしい、薬は必要なだけやろうといってダイヤジン、ペニシリンなどを幾らでも無料でくれて、こういう方式で検診治療をやれ、責任は都知事が持てといったから仕方なしに花柳界に診療所をつくって都の職員の手で検診治療をやった」

与謝野の別の手記によれば、この時、与謝野に依頼したのはGHQ軍医総監ウエブスター少将で、慰安用に指定された場所は、将校用が向島、芳町、白山、白人兵士用が吉原、新宿、千住、黒人兵士用が亀戸、新小岩、玉の井だったという。(新潮45 1990年5月1日号 敗戦秘話・「占領軍慰安」防備録)

この与謝野の発言を裏付ける公文書までは見つけられなかったが、当然、当時の朝日新聞は裏取りをしたことだろう。この場合、ほとんどの女性が意に反して米軍兵士の相手をさせられたと考えられるが、強いたのはGHQではないのか?

このように、広義の強制などという曖昧な定義をすれば、強制の行為者もまた多様なのである。それにも拘らず、「forced to provide sex」とだけ書けば、読者は日本軍による強制連行(狭義の強制)を連想する。広義の強制などと言いながら、わざと行為者を曖昧にし、狭義の強制としか受け取れない表現を繰り返し使うことは、まことに欺瞞的と言わざるを得ない。


8月3日、我々の追加質問に対する朝日新聞からの回答が届いた。

冠省
 今回いただいたご質問については、基本的には前回お送りした回答で意を尽くしていると考えております。
 今後も、記事でどのような表現を使うかについては、国内外のさまざまな立場の意見や歴史研究の蓄積なども考慮しながら、個々の状況や文脈に応じてその都度、判断してまいりたいと考えています。
草々

結局、朝日新聞は、強制の行為者を明示することを拒否した。

朝日新聞などの左翼メディアや、中国や韓国の反日活動家たちが慰安婦問題を「女性の人権の問題」とすり替えるのは欺瞞も甚だしい。

もし、当時の女性たちが、仕方なく売春業に従事したことが「広義の強制」だというのであれば、彼女たちに強制した主体は「貧困、娘を業者に売った親、親から娘を買って儲けた女衒」など、多岐にわたる。駐留した日本軍に需要を作り出した責任があるとすれば、日本軍に自主的に参加し、慰安所を利用していた大勢の朝鮮人兵士たちも同様だ。だから、朝日新聞は「日本軍が物理的に女性を強制連行した」ように読める印象操作を繰り返しながらも、具体的に強制の主体を聞かれると答えることができない。

弱い立場に立たされた女性達への同情と反省は必要だ。しかし、弱者の政治利用ほど醜いものはない。そういうことをする人々こそ現在においてもひどい搾取をしているものだ。活動家たちはなぜ今現在膨大な借金を負わされ、パスポートを取り上げられ、安物の着物を着て日本人を装って中国人顧客を相手に売春をしている韓国人女性たちを救出しないのだろうか。